IIJと日本テレビ 動画配信プラットフォーム事業の新会社設立 民放各局に参加呼びかけ

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インターネットのインフラ事業の大手インターネットイニシアティブ(IIJ)と日本テレビ放送網が、2016年12月1日付で映像配信プラットフォーム事業のJOCDN株式会社を設立した。本社はIIJの本社もある東京千代田区富士見に置かれる。
資本金は9900万円、IIJと日本テレビが50%ずつ出資した。代表取締役会長はIIJ 代表取締役会長の鈴木幸一氏が就任、代表取締役社長は日本テレビから篠崎俊一氏が出向する。
JOCDNでは国内向けの映像配信プラットフォーム事業を手掛ける。インターネットインフラ事業に定評があり、この技術力とノウハウを活かし、安定した高品質の大規模配信を目指す。さらに将来に向けた新たな配信技術やプラットフォームの開発も推進する。

IIJと日本テレビは、新会社の設立について、スマートフォンの普及や通信インフラの高速化で動画配信市場が急拡大していることを理由にあげる。今後も市場の拡大が見込まれるとしている。
一方で映像配信ビジネスは競争が激化しており、すでに過当競争との指摘もある。そうした中での強者連合による新たなプラットフォーム会社の設立は、通常であれば業界の不安定要因になる。日本テレビが有力プラットフォームのHuluを運営していればなおさらだ。

しかし、今回注目されるのは、両社は新会社設立にあたって、今後、民放各局にJOCDNへの出資を含めた参加を呼びかけるとしていることだ。さらに日本テレビの動画配信サービスを融合するともしている。日本テレビは現在、Huluと日テレオンデマンドのふたつの映像プラットフォームを運営する。いずれのサービスが融合されるのかは現時点では不明であるが、Huluであればインパクトはかなり大きい。

もともと日本テレビは、2014年の国内のHulu事業買収時から、他の放送会社の参加を歓迎するとしていた。映像配信のラインナップを自局の作品だけにすれば、NetflixやAmazon プライム ビデオなどの外資をはじめたとしたライバルと競争できない。そこで現在もHuluは民放各局の番組配信にも積極的だ。
それでもHuluの運営するHJホールディングスは日本テレビが100%出資するだけに、他局にとって事業参加はハードルが高い。しかし、中立的な立場であるIIJが出資するJOCDNであれば乗りやすい。もし他社による新たな出資があれば、日本テレビの持株比率は50%を割るのも大きい。
日本テレビにとっては大きな決断ではある。しかし、民放各局が消耗戦を繰り広げて、いずれの配信事業も立ちいかなくなるよりは、手を組むことで巨大な映像配信市場を獲得できる魅力は大きい。それは他の放送局にとっても同様であろう。

これまで複数の放送局が協力する事業は、失敗も少なくない。それだけにJOCDNで手を組めるのか、それが他業界との競争に勝てるのか、大きな関心を集めそうだ。

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