日本の映画興行収入が2019年に過去最高を記録した。2020年1月28日、映画製作の業界団体映画製作者連盟は2019年度の映画興行の概要を発表した。
映画製作者連盟の資料によれば、2019年の国内の映画興行収入の総合計は前年比17.4%増の2611億8000万円、入場者数は1億9491万人で15.2%増となった。
興行収入は高い伸び率で2年ぶりに増加に転じ、2016年の2355億円を大きく超えて過去最高だった。興行収入の伸びは、2019年に多くの映画館の一般料金が1800円から1900円に引き上げられるなどの値上げ、4DXやIMAXなどの単価の高い上映の影響もある。しかし平均入場料金は前年比1.9%増の1340円にとどまっている。むしろ金額の増加は好調な動員に支えられている。入場者数は1971年の2億1600万人以来の水準になる。
2019年の映画興行の活況は、公開本数の増加にも現れている。2019年の公開本数は1278本で前年の1192本から86本の増加。特に邦画が613本から689本の76本増と目立っている。
ただ映画館のスクリーン数は3583と前年から22増にとどまっている。スクリーンの確保競争は厳しさを増したとみられる。
ヒット作は邦画、洋画とも多く。それぞれ邦画が1421億9200万円(16.5%増)、洋画が1189億8800万円(18.4%増)となった。
いずれもアニメーションの大きなヒットが目立った。邦画1位は全体でもトップとなった『天気の子』140.6億円、洋画のトップは『アナと雪の女王2』の127.9億円となった。
邦画は『天気の子』のヒットも大きかったが、『名探偵コナン 紺青の拳』93.7億円のほかヒット作が相次ぎヒット作の目安とされる10億円以上の邦画は16本と過去最高で、業界全体で盛り上がったかたちである。10億円以上の作品だけで560億円になる。
洋画はウォルト・ディズニーが強さを発揮し、『アナと雪の女王2』127.9億円、『トイ・ストーリー4』、『シュガー・ラッシュ:オンライン』38.6億円とトップ3を占めた。これに実写版『アラジン』の121.6 億円や全編CGでリメイクされた66.7億円の『ライオン・キング』もある。
【2019年度 邦画アニメ10億円超え作品】
『天気の子』140.6億円 (東宝)
『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』93.7億円 (東宝)
『ONE PIECE STAMPEDE』55.5億円 (東映)
『ドラえもん のび太の月面探査記』50.2億円 (東宝)
『ドラゴンボール超 ブロリー』40億円 (東映)
『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』29.8億円 (東宝)
『クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』
20.8億円 (東宝)
『うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVEキングダム』
18.2億円 (松竹)
『Fate/stay night [Heaven’s Feel]Ⅱ.lost butterfly』
16.6億円 (アニプレックス)
『シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』15.3億円 (アニプレックス)
『プロメア』15億円 (東宝映像事業部)
『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』14.5 億円 (アスミック・エース)
『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』14.2億円 (東宝)
『ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbow』
13億円(松竹)
『妖怪ウォッチ FOREVER FRIENDS』12.5億円 (東宝)
『コードギアス 復活のルルーシュ』10.6億円 (ショウゲート)
【2019年度 洋画アニメーション10億円超え作品】
『アナと雪の女王2』127.9億円 (ディズニー)
『トイ・ストーリー4』100.9億円 (ディズニー)
『シュガー・ラッシュ:オンライン』38.6億円 (ディズニー)
『ペット2』21.6億円 (東宝東和)
*興行収入66.7億円の『ライオン・キング』ディズニーは含まない