2023年公開予定 長編アニメーション映画一覧 宮崎駿新作からマリオまで

映画

 2022年の邦画アニメの映画興行収入が過去最高を記録するなかで、長編アニメへの注目が高まっている。22年には『ONE PIECE FILM RED』、『すずめの戸締まり』、『THE FIRST SLAM DUNK』といったヒット作があったが、23年にはどんなヒットアニメが生まれるのだろうか。
 そんな未来を占う助けとして、1月4日現在で判明している2023年に日本公開される長編アニメーションのリストを作成してみた。近年の映画とイベントの定義の揺らぎもあり、リストには劇場公開作品だけでなくODS興行と呼ばれる劇場上映のうち初めて披露される新作、さらに劇場上映はなくともNetflix、Amazon プライムビデオ、ディズニープラスなどのプラットフォームで配信される国内長編アニメも加えている。
 これらを合計すると2023年にリリースが予定される邦画アニメはすでに50本近くにも及ぶ。また20本以上ある公開時期未発表作品のいくつかは2023年公開と予想される。さらに現状では全く未発表の作品が下半期を中心にあるはずだ。こうしたことから2023年の国内長編アニメのリリース本数は、かなり高水準になる。

 リストからは、現在のアニメ市場の変化もいくつか読み取れる。ひとつは先にも触れた配信会社の参入である。Amazon プライムビデオの『ルパン三世VSキャッツ・アイ』、Netflixの『七つの大罪 怨嗟のエジンバラ 後編』といった配信会社主導の作品が姿を見せるようになっている。配信と合わせて劇場上映をするのかは現時点では不明だが、ファーストウィンドウが配信に寄った長編アニメと言っていい。
 また『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里』、『推しの子』TVアニメ第1話(90分拡大版)といったテレビシリーズの一部や総集編的な作品の上映も増えている。アニプレックスやエイベックス・ピクチャーズ、ポニーキャニオン、バンダイナムコピクチャーズといったDVDやブルーレイの販売ビジネスを得意としてきた企業が小規模の劇場上映をするケースも続いている。ビデオソフト市場が縮小するなかで、劇場興行を収益回収の手段することが活発化している。

 一方で近年目立っていた劇場企画のオリジナル長編アニメの関心は弱くなってきた。7月に宮崎駿監督10年ぶりの新作『君たちはどう生きるか』、秋に山田尚子監督の『きみの色』があるが、いずれもこれまでに実績の高い監督による作品である。原作はあるものの映画オリジナル企画の『BLUE GIANT』(2月公開)、『屋根裏のラジャー』(冬公開)に期待したいところだ。
 また現時点で海外長編アニメーションのラインナップが少ない。21年、22年にはハリウッド映画のヒットが少なかっただけに、『長ぐつをはいたネコと9つの命』、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』、『マイ・エレメント』、『ウィッシュ』などのハリウっド大作に期待がかかりそうだ。

2023年公開予定 長編アニメーション映画
*2023年1月4日現在判明分
*□は海外作品
*( )は配給会社
*リストには劇場でODS興行として上映される長編作品、映像プラットフォームで配信される新作長編作品を含んでいる。

■1月6日
・TVシリーズ特別編集版『名探偵コナン 灰原哀物語~黒鉄のミステリートレイン~』 (東宝)
・『Dream Collaboration Festival ドリコラFes. アイカツ!シリーズ&プリティーシリーズ』 (イオンエンターテイメント)
■1月13日
・『妖怪ウォッチ♪ ジバニャンvsコマさん もんげー大決戦だニャン』 (イオンエンターテイメント)
■1月20日
・『蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE』 (ムービック)
・『アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~』 (バンダイナムコピクチャーズ)
■1月27日
・『金の国 水の国』 (ワーナーブラザース映画)
・『幾多の北』と三つの短編  (WOWOWプラス/Au Praxinoscope)
・『ルパン三世VSキャッツ・アイ』 (Amazon Prime Video)
■2月3日
・『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里』 (東宝・アニプレックス)
■2月17日
・『BLUE GIANT』 (東宝映像事業部)
・『映画 佐々木と宮野―卒業編―』 (角川ANIMATION)
■3月3日
・『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』 (東宝)
■3月10日
・『劇場総集編 SSSS.DYNAZENON』 (東宝映像事業部)
□『映画 きかんしゃトーマス めざせ!夢のチャンピオンカップ』 (東京テアトル)
■3月17日
・『推しの子』TVアニメ第1話(90分拡大版)  (角川ANIMATION)
□『長ぐつをはいたネコと9つの命』 (東宝東和/GAGA)
■3月24日
・『グリッドマン ユニバース』 (東宝映像事業部)
・『劇場版アルゴナビス AXIA』 (ブシロードムーブ)
■3月31日
・映画『ブラッククローバー 魔法帝の剣』 (松竹ODS事業室)
・『らくだい魔女 フウカと闇の魔女』 (ポニーキャニオン)
■4月7日
・『プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第3章』 (ショウゲート)
■4月14日
・『名探偵コナン 黒鉄の魚影』 (東宝)
■4月28日
□『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』 (東宝東和)
■5月26日
・『アムリタの饗宴』 (ゼリコ・フィルム)
■初夏
・劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」《前編》 (東映)
・劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」《後編》 (東映)
・『劇場版 Collar×Malice -deep cover-』前編 (エイベックス・ピクチャーズ)
・『劇場版 Collar×Malice -deep cover-』後編 (エイベックス・ピクチャーズ)
■7月14日
・『君たちはどう生きるか』 (東宝)
■8月
・『七つの大罪 怨嗟のエジンバラ 後編』 (Netflix)
■夏
・『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜』(東宝)
・『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』
 *中編作品
・『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』新作OVA
■秋
・『きみの色』 (東宝)
・プリキュア20周年記念映画(仮) (東映)
□『マイ・エレメント』 (ディズニー)
■12月
・『RABBITS KINGDOM THE MOVIE』
■冬
・『鬼太郎誕生ゲゲゲの謎』 (東映)
・『屋根裏のラジャー』 (東宝)
□『ウィッシュ』 (ディズニー)

■2023年
・『劇場版 SPY×FAMILY』 (東宝)
・『劇場版 シティハンター 2023』 (アニプレックス)
・『映画すみっコぐらし』第3弾 (アスミックエース)
・『テンアカウント』(ポニーキャニオン)
・『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話 (ショウゲート)
・『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』 (アニプレックス)
・ 劇場版『エスタブライフ リベンジャーズロード』
・『劇場版 モノノ怪』
・『劇場版 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』
・『スペースマンX~すごい宇宙大冒険~』
□『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』 (ソニー・ピクチャーズ)
□『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』
□『雄獅少年』

■2023年~24年? (未定)
・『ハイキュー!! FINAL』劇場版第一部 (東宝)
・『ハイキュー!! FINAL』劇場版第二部 (東宝)
・『Project BULLET/BULLET(仮)』 (GAGA/ディズニープラス)
*公開時期未定だがいずれも配給会社の公開予定ラインナップにすでに組み込まれている。・

■2024年
・『メイク ア ガール』
・スタジオコロリドアニメーション制作・柴山智隆監督の新作映画(Netflix)
・『i☆Ris the Movie – Full Energy!! 』-
□『スパイダーマン ビヨンド・ザ・スパイダーバース』

■??(未定)
・劇場版『活撃 刀剣乱舞』 (アニプレックス)
・『アリスとテレスのまぼろし工場』
・『アイゼンフリューゲル』 (アニプレックス)
・『ソードアート・オンライン』完全新作オリジナル劇場版
・『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』
・『ORBITAL ERA』
・『ユーリ!!! on ICE 劇場版 : ICE ADOLESCENCE』
・劇場版『ゾンビランドサガ』
・第2章『囀る鳥は羽ばたかない The storm breaks』
・片渕須直監督 新作長編
・劇場版『機動戦士ガンダムSEED』
・劇場版『ベルサイユのばら』
・『魔法使いの夜』
・『劇場版 オーバーロード 聖王国編』
・『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 〈ワルプルギスの廻天〉』
・『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』
・『ヤマトよ永遠に REBEL3199』
・たつき監督 劇場映画
・『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』
・『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ サン オブ ブライト』(仮題)
・『僕はロボットごしの君に恋をする』
*公開未定作品は制作決定が伝えられている中から、すでに制作に入っているとみられるものをリストとして挙げた。

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