IMAGICAエンタテインメントメディアサービス(Imagica EMS)と東宝が、デジタルシネマの配給と配信の効率化を目指した流通体制の構築で協力することを明らかにした。2022年9月30日、Imagica EMSと東宝は、デジタルシネマ配給・配信事業における合弁会社を2023年4月1日付け(予定)で設立し事業開始することで合意した。
新会社は映画本編のほか予告特報やシネアドなど映像のDCP(デジタルシネマパッケージ)による上映システム、KDMの暗号鍵に管理システムでの業務などを手がける。物理メディアとネットワーク配信システムの双方で劇場に映像を届けるサービスを提供する。また劇場での受信システム導入やシネアドの運用などもサポートするとしている。
新会社の資本金は1億円、Imagica EMSが66.6%、東宝が33.4%出資する。本社は東京都港区海岸に置かれる。
IMAGICAは1935年創立、長年、映画フィルムに関わるプリントサービスを担ってきた。映像のデジタル化に伴い2000年以降はデジタルシネマ分野への積極的な進出を図ってきた。
日本初のデジタルシネママスタリングを行ったほか、2006年からはDCPマスタリングと自社開発のKDMを実現している。現在は劇場向け配信システムの運用を統合的に提供している。
東宝は国内映画配給の最大手で、TOHOシネマズブランドのシネコン運営など興行面でも存在感が大きい。
両社によれば、昨今のデジタル技術の進歩によりデジタル配給の方法も変わりつつある。これまでは同じ劇場公開作品のデジタルデータでもHDD(ハードディスクドライブ)を直接劇場に届ける手法が取られていた。それが現在はネットワークを使用したデジタル配信へ移行がはじまっている。そうした動きは配給会社、興行会社双方の運営効率化につながるという。
Imagica EMSと東宝の双方のノウハウを合わせることで、効率的で柔軟かつセキュリティの完備した次世代のデジタルシネマのデリバリーサービスの提供を目指す。そして国内におけるデジタル配信インフラの整備を加速化する。