東宝の第1Q好調で増収増益、アニメ事業は売上げ50%増

ファイナンス決算

 東宝は2023年7月13日に、2024年2月期第1四半期(24年3月~5月)の決算を公表した。期間中に自社グループ配給の『名探偵コナン 黒鉄の魚影』、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』、『劇場版「TOKYO MER~走る緊急救命室~」』などのヒット作が相次いだことから業績が急伸、2桁の増収増益となった。コロナ禍の影響はほぼなくなり、第1四半期としては過去最高を更新した。
 連結売上高は741億5300万円で前年同期比19.9%増、映像事業各部門に加えて演劇部門も18.1%増と業績回復が見られた。営業利益は183億2400万円(28.4%増)、経常利益は188億200万円(18.8%増)、当期純利益は122億9100万円(6.7%増)である。利益面で映画興行、演劇事業の伸びが大きい。
 こうした業績を受けて通期業績予想も上方修正している。通期連結売上高は2600億円、営業利益は450億円、経常利益は480億円、当期純利益は310億円を見通す。

 映画事業全体の売上高は509億2500万円(28.8%増)、営業利益は131億5500万円(42.5%増)だ。配給で『名探偵コナン 黒鉄の魚影』がシリーズ初の興行収入100億円を突破、東宝東和配給の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』も洋画アニメーションとしては空前のヒットになった。こうしたヒットは興行事業の好調にもつながった。TOHOシネマズのゴールデンウィーク期間中(4月29日~5月7日)の興行収入は過去最高記録となった。
 演劇事業の売上高は53億8500万円(18.1%増)、営業利益は12億1200万円(64.4%増)である。帝国劇場で上演した『SPY×FAMILY』は全席完売となった。

 決算説明会資料では、前期に続きアニメ事業とその部門ごとの売上げも開示している。結果は四半期(3ヵ月)で売上高は91億9100万円と前年同期比で50.1%増と高い伸びを見せた。
 部門ごとでは配信が一番大きく29億6100万円(71.8%増)、『僕のヒーローアカデミア』、『Dr.STONE』の貢献が大きい。続いて劇場公開が18億5600万円(36%)増、ここには映画映像事業の『名探偵コナン』、『ドラえもん』は含まれず、『BLUE GIANT』や『グリッドマン』が含まれる。
 キャラクターライセンス事業は15.0%減少した。売上高は16億2100万円。前年の『呪術廻戦』、『SPY×FAMILY』好調の反動がでた。
 演劇公演10億5400万円は今期が初めての計上で、『SPY×FAMILY』のミュージカル化によるもの。商品物販は8億5900万円(63.3%増)で、『刀剣乱舞』、『僕のヒーローアカデミア』のキャラクターグッズが好調。パッケージは5億1600万円(56.8%増)で、『お兄ちゃんはおしまい!』、『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』が主力作品だ。

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