2022年夏、ひろしまを舞台に新たな大型アニメーション映画祭がスタートする。広島市内のJMSアステールプラザを中心に、8月17日から4日間開催される「ひろしまアニメーションシーズン」である。
2022年4月28日、映画祭のメイン企画となるコンペティション部門の入選作品と審査員が発表された。コンペティション部門には第1回にも関わらず、世界86ヶ国・地域から2149作品もの応募があった。その中から厳しい選考を経て、計54作が期間中上映され、アワードを競う。
「ひろしまアニメーションシーズン」の特徴は、従来の国際アニメーション映画祭にみられた長編部門・短編部門といった枠組みを外したことである。一方で「環太平洋・アジアコンペティション」と「ワールド・コンペティション」というふたつに部門を設けた。
環太平洋・アジアコンペティションはその名前のとおり、新しい表現や作家の成長が著しいこの地域の作家・作品に絞ったが特徴である。中国、台湾、韓国、イラン、シンガポール、マレーシア、インド、ニュージーランド、アメリカ、カナダ、チリなど多彩な地域から16作品を選出した。アカデミー賞短編アニメーション部門ノミネート作家Hugo・Covarrubias(チリ)や第25 回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門グランプリのマフブーベフ・カライ(イラン)の作品なども見られる。
日本からは和田淳の『半島の鳥』。日本のアーティスト ラッキーオールドサンのMVのアニメーションンとなった台湾のLiang-Hsin Huangによる『Ma Ma Hu Hu』も選ばれている。
ワールド・コンペティションは、「寓話の現在」「社会への眼差し」「物語の冒険」「光の詩」「こどもたちのために」と5つのカテゴリーに分けて選出する。多様なアニメーションの映像表現の評価軸を明確化するのが狙いだという。
こちらは世界中を対象にしており、米国のエリック・パワー『When You Get To The Forest』、中国のLei Lei『Silver Bird and Rainbow Fish』、カナダのフェリックス・デュフール=ラペリエール『Archipel(群島)』と長編映画も含まれる。表現方法も2DからCG、ストップモーションと多彩だ。
日本からは冠木佐和子『I’m Late』、幸洋子『ミニミニポッケの大きな家で』、中澤ふくみ『変形して奇形する』、日本で学ぶ韓国の全振圭『喪失の家』がある。
ワールド・コンペティションの審査員は、アニメーションの専門家のほか、文学、絵本、舞踊、現代アート、実写映画、音楽、マンガ、ドキュメンタリー、メディア・アートなど様々な分野から招く。その数の多さも特徴になる。環太平洋・アジアコンペティションの審査員は後日発表される。
発表に先立って4月16日には、JMSアステールプラザにて、ひろしまアニメーションシーズンも含む「第1回ひろしま国際平和文化祭(ひろフェス)」のプレイベンが開催された。
日本を代表するアニメーション作家である山村浩二氏がアニメーションの魅力について語ったほか、詩人アーサー・ビナード氏と共に両者共作の絵本『やまなし Mountain Stream』を解説した。また広島出身の女優・声優氏が新谷真弓氏が、映画『この世界の片隅に』で広島弁の方言指導を担当したエピソードなどを紹介した。
発表に合わせて、ひろしまアニメーションシーズン2022公式サイトも正式オープンしている。コンペティション作品の詳細やメインビジュアルなどもここで確認できる。
ひろしまアニメーションシーズン https://animation.hiroshimafest.org
[コンペティション作品] https://animation.hiroshimafest.org/competition/