J:COMネット契約者に「ディズニープラス」無料6 カ月、連携強化施策で

J:COMとウォルト・ディズニー・ジャパン

 ケーブルテレビサービスの大手J:COMとウォルト・ディズニー・ジャパンが、動画配信サービス「ディズニープラス」で大きな提携をする。J:COMは自社のインターネットサービス「J:COM LINK」「J:COM LINK mini」を通じて、大型企画を開始する。
 両サービスを利用している顧客が「ディズニープラス」を利用するとまとめて支払いが出来る「J:COM まとめ請求 for Disney+」を、2022年4月1日から導入する。また既存の契約者を対象に加入月と5ヵ月、最大6ヵ月の無料視聴を提供する。
 「ディズニープラス」は2020 年6 月に日本でのサービスを開始、昨年10月からは「スター」の導入と共に、契約者獲得強化を図っている。しかし現在は契約者数で同じ外資系の動画配信サービスのNetflixとAmazon プライム ビデオに水を空けられている。契約世帯数550万のJ:COMのユーザーを捕まえることで、この差を埋める狙いがありそうだ。

 J:COMの狙いは動画配信サービスが急成長するなかで逆に動画配信サービスと手を組むことで、引き続き成長を目指すことにある。その際に「ディズニープラス」の豊富な作品群、そしておよそ半年間の無料視聴提供は大きな威力を発揮するだろう。
 新パートナーシップ発表会において J:COM 代表取締役会長の井村公彦氏は、ケーブルテレビの利用者はインターネットサービスも同時に利用すると視聴時間は1.2倍、満足度は1.3倍になるとの調査結果を示した。ケーブルテレビと配信サービスのコンビネーションに自信を見せる。

 一方、ディズニー側の自信はその作品群にある。ウォルト・ディズニー・ジャパン代表取締役社長:キャロル・チョイは、「ディズニー」「ピクサー」「マーベル」「ナショナルジオグラフィック」「ルーカス」の数々の傑作、ヒット作がある強みを強調する。
 同時に日本では昨年秋にスタートした「スター」の魅力に触れた。「スター」では各国で制作するローカルコンテンツに力をいれる。2023年までに50作品のオリジナルを提供する予定だ。日本でもコンテンツ強化に積極的に動いており、独占タイトルの実写ドラマ『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』、4月からはアニメ『ブラックロックシューター DAWN FALL』、『サマータイムレンダ』、そしてドラマ『金田一少年の事件簿』が用意されている。こうした作品は今後世界各国の「ディズニープラス」、もしくは「Hulu」で配信される。

 となれば今後J:COMとディズニーの共同制作の可能性があるのかは気なるところだ。井村氏はJ:COMはグループに映画・映像製作のアスミック・エースがあることをあげ、さらにアニメは得意とし、制作協力の可能性は十分あると話す。チョイ氏もコラボレーションについては完全にオープンと述べ、こうした可能性を否定しなかった。
 それでも「ディズニープラス」での提携はTBSや日本テレビがすでに発表されている。日本のメディア間の競争は激しそうだ。今後「ディズニープラス」が日本で番組制作にどこまで、どの程度関わるのか、業界からは注目が増しそうだ。

「ディズニープラス」

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