アニメ事業大手のIGポートは、2023年4月14日に2023年5月期第3四半期の決算発表をした。連結売上高は84億1500万円と前年同期から1.6%微減の84億1500万円だったほか、営業利益は8億7900万円(7%減)、経常利益は8億8100万円(5.1%減)とこちらも微減となった。当期純利益は6億7500万円と9%増である。
一方でIGポートは通期連結決算について、業績予想を上方修正した。売上高は当初予想の109億7400万円から110億6400万円に、営業利益は7億9500万円から9億1600万円に、経常利益は7億6600万円から9億2100万円に当期純利益は5億200万円から6億900万円に引き上げる。利益面での修正幅が大きい。営業利益は前年の約1.6倍にもなる。
業績予想の引き上げは、第3四半期までの業績が堅調に進んでいるためだ。電子書籍の好調と版権事業の売上が予想を上回る見込だ。
また利益予想の引き上げに伴い配当金も引き上げる。これまで1株当たり25円としていた配当を今回35円に修正した。前期は5円だったため一挙に7倍まで伸びることになる。
事業セグメントでは、映像制作事業の利益回復が大きい。映像制作事業は、主にプロダクション I.G、WIT STUDIOなどのスタジオによるアニメーション制作が中心となっている。
第3四半期までの売上は46億7200万円(2.2%増)と前期並みであったが、3300万円を計上していた営業損失が1億5500万円の利益に転じた。それでも一部の作品については、制作期間の長期化や外部クリエーターへの支払い額の高騰により制作赤字となっているとする。期間中の主要な作品は『天国大魔境』、『火狩り王』、『ULTRAMAN』Final Season、劇場アニメ『らくだい魔女 フウカと闇の魔女』などだ。
版権事業は減収減益だった。売上高は13億1800万円(26.7%減)、営業利益は2億9200万円(48.4%減)である。前年同期は製作出資割合の高い作品がライセンス収入を引き上げていたが、今期はそうした影響が少ない。
『SPY×FAMILY』が国内外でライセンス売上が好調だったほか、『進撃の巨人』、『攻殻機動隊』、『ハイキュー!!』、『銀河英雄伝説 Die Neue These』が主要タイトルだ。
出版事業の売上高は21億8500万円(12.1%増)、営業利益は5億600万円(2.0%減)。電子書籍の伸びは鈍化しているが、海外向けの翻訳出版が欧米向けを中心に前年同期比で70%増と大きく伸びている。