『劇場版 呪術廻戦 0』の世界公開がこの2月、3月に本格化している。 国内で興行収入120億円を超える大ヒット作、テレビシリーズや原作もすでに各国で人気を博しているだけに、海外での興行の行方にも関心が集まる。
海外公開はアジアが先行している。韓国の2月17日が最も早く、2週間連続で週末興行ランキング2位をつけ好調な滑り出しだ。さらに2月24日に公開した台湾では、初週末は興行収入1位でスタートを切った。3月10日にシンガポール、マレーシアなどのアジア各国が続く。
今後、関心を集まるのは、3月18日公開の米国・カナダの北米市場だろう。巨大なマーケットだけに『劇場版 呪術廻戦 0』の世界興行全体を左右する。米国の映画興行情報サイトでは限定公開(Limited)とされているが、すでにIMAXを含めて1500スクリーン以上と発表されている。全国規模の大掛かりな興行と見ていいだろう。
13歳以下は保護者の指導が必要なPG-13がつけられているが、主要な観客はハイティーンからヤングアダルト層とみられる。また同じ時期には3月5日の『The Batman』、3月25日公開の『The Lost City』以外に有力作品が見られない。3月18日公開の『劇場版 呪術廻戦 0』は、興行ランキングでの存在感発揮も期待出来る。数字的には2021年公開の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の4950万ドル(約57億円)が目安になりそうだ。
また配給会社がクランチロールとなっているのも注目される。当初はクランチロールと『鬼滅の刃』も手がけたファニメーションが協力するとしていたが、3月1日にファニメーションブランドがクランチロールと統合されたばかり、クランチロールブランドでは初の大型配給になる。
このほかフランス、ベルギー、ルクセンブルグなど仏語圏を中心としたヨーロッパが3月16日、オーストラリアとニュージーランドが3月17日、イギリスは北米と同じ3月18日になる。さらにドイツ、オーストリア、スイスなどドイツ語圏を中心としたヨーロッパは3月29日に公開予定だ。英語圏を除くヨーロッパは、クランチロールと同じ企業グループのフランスのアニメ会社ワカニムと配給協力をする。
また3月24日には、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、ペルーなどラテンアメリカ16か国で公開になる。このほかフィンランド、アイルランド、オランダ、スウェーデンでの公開も予定している。
日本のアニメ映画の海外上映は世界規模で大きく展開されることは少なく、また公開時期は地域の状況に応じてバラバラになることが多い。しかし『劇場版 呪術廻戦 0』では、可能な限り3月に集中させ、世界的に作品を盛り上げようとしているようだ。