米国動画配信の新勢力? 東映アニメが完全無料のTubi TVと提携

Tubi TV

東映アニメーションのアニメシリーズの米国配信がこの11月に拡大する。同社は11月9日に米国の映像配信プラットフォームTubi TVとの提携を発表した。11月9日よりTubi TVのサービスを通じて、10タイトルを全て無料で配信する。
作品ライナップは、バラエティたっぷりになっている。『銀河鉄道999』全113話、『宇宙海賊キャプテンハーロック』全42話といった懐かしい作品から、『タイガーマスクW』、『聖闘士星矢 黄金魂 -soul of gold-』といった新作タイトルなど。なかでも注目されるのは、日本では2015年秋から劇場上映がスタートし、テレビ放送されていない『デジモンアドベンチャー tri.』の第1章から第3章が含まれていることだ。米国のファンにとってはサプライズなプレゼントになるだろう。
また東映アニメーションが長年海外進出を狙ってきた『ふたりはプリキュア』や、ハリウッドでの実写企画もあった『大空魔竜ガイキング』も含まれる。作品の認知度向上や、ユーザーの反応を見る役割も期待されていそうだ。

Tubi TVは、2014年にサンフランシスコに拠点を持つベンチャー企業Adriseがスタートした映像配信プラットフォームだ。完全視聴無料を売りにPCやスマートフォン、インターネットTVなどでサービス提供している。
Tubi TVの特徴は、そのビジネスモデルにある。2万本以上にもなる作品を観るのに視聴者はお金を支払う必要はない。作品には広告がつけられ、運営側はここから収益を得る。
現在、米国で人気のNetflix、Amazonはいずれも定額課金モデルを採用している。毎月一定の金額の支払いで、見放題といったサービスである。広告付き無料と定額課金のふたつのサービスを長年提供してきたHuluも、2016年夏に広告付き無料サービスを終了している。映像配信ビジネスの主流は定額見放題に向かっているかのようである。そうしたなかでTubi TVは、「サブスクリプションにお金をだすのなんか止めよう」と挑戦的だ。

広告からの収益をベースにする映像配信のビジネスモデルは、これまでにも多くのベンチャーが挑戦し、その多くは挫折した。Tubi TVがそれらと異なるのは、東映アニメーションだけでなく、すでに200を超えるコンテンツ企業から作品の提供を受けていることにある。この中にはMGMやライオンズゲート、パラマウント・ピクチャーズ、スターズなどの大手の映画会社、番組会社が並ぶ。さらにMGM、ライオンズゲート、そしてCOTAキャピタルなど出資者も強力だ。 
日本のアニメでは、2016年に6月にはセンタイ・フィルムワークス、7月にはVIZ Mediaと相次いでパートナーシップを結んでいる。『NARUTO』や『デスノート』、『境界のRINNE』、『坂本ですが?』、『Angel Beats!』、『CLANNAD』などの人気作が配信されているが、ここに東映アニメーションが加わる。

米国では9月に日本アニメを手がけるふたつの大手企業ファニメーションとクランチロールが作品の相互提供を発表している。日本アニメ配信の寡占化が懸念されている。日本資本のDAISUKI.netや、アニメだけでない総合サービスのNetflix、Amazon プライム ビデオなどはあるが、日本企業にとってはアニメ配信ビジネスを特定の企業に依存し過ぎるのは避けたいところだ。
そうした点でジャンル映画やアジア作品に強みを持つTubi TVの成長は歓迎すべきことだろう。Tubi TVが今後、映像配信ビジネスでどのような役割を果たすのか、日本企業からも関心を集めそうだ。

Tubi TV https://tubitv.com/

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