講談社が、米国市場向けにマンガ閲覧アプリ「K MANGA」の提供を開始した。App StoreとGoogle Playストアでダウンロードが可能だ。アプリだけでなく、PCなどから利用できるブラウザ版も近日中に開始する。
「K MANGA」は北米のマンガファンに、講談社のマンガ作品を広く届けることを目的としている。講談社の頭文字「K」と「MANGA」を組み合わせたシンプルなブランド名からも、その意気込みが感じられる。
さらにサービス開始に合わせてタイトルの量からも、「K MANGA」がビッグプロジェクトであることが分かる。利用可能な作品はおよそ400タイトル、そのうち約60作品は、日本の雑誌連載と並行して米国での配信タイミングを合わせる日米同時(サイマル)展開になる。
日米同時展開作品にはアニメ化もされて現在大人気の『ブルーロック』、さらに『ブルーピリオド』、『アルスラーン戦記』、『ノラガミ』、『トモダチゲーム』、『転生したらスライムだった件』といったヒット作品が並ぶ。
国境を越えてマンガやアニメの情報が伝わる現在、海外のファンからは、作品を日本の連載と時差なく読みたいとのニーズが高くなっている。しかし、これまではサイマルを実現出来るタイトルは限られていた。依然、海外で利用が多いネット上の海賊版も、こうしたリリースの時差に誘発されているとの意見もある。講談社はマンガアプリを活用することで、サイマルリリースの拡大を実現する。
アプリの利用の仕組みは、無料の閲覧と有料の閲覧を組み合わせたものとなっている。約400タイトルのほんとんどが、最初の数話分をいつでも無料で読める。さらにチケットを購入することで、さらにその先を読めるとの仕組みだ。
アプリを使った海外向けのマンガ配信は、集英社の少年ジャンプ編集部による「MANGA Plus」が先行している。しかし「MANGA Plus」ではサイトの利用は基本無料でプロモーションの色合が強い。これに対して講談社の「K MANGA」は日本でも一般的なエピソードごとの課金システムを組み込んでおり、本格的に米国でのデジタルマンガを開拓する方向性が明確だ。
米国ではコミック・マンガのデジタル出版は、ICv2とComichronの調べではコミック・マンガ市場全体の1割以下となっている。半数以上がデジタルという日本に較べて浸透が遅れている。「K MANGA」には、デジタルのマンガ市場開拓との役割も期待されているだろう。