東映アニメ新規IP研究開発チーム、地方創生映像を完成

実験映像『URVAN 』(ウルヴァン)

 アニメスタジオの老舗、東映アニメーションが若手スタッフを中心にした新規作品の研究・開発を進めている。このほどその成果のひとつがかたちとなった。東映アニメの新規IP研究開発チーム「PEROs」が長崎国際大学の協力のもと制約した実験映像『URVAN 』 (ウルヴァン)である。
 『URVAN』は長崎県佐世保市を舞台にした「非日常」と「日常」が交錯するサイバーパンクアクション映像である。タイトルの「URVAN」は古代アヴェスター語の「ウルヴァン(霊魂)」に由来し、佐世保の地で霊を迎え入れて送り出すお盆をモチーフにした作品だ。

 プロジェクトを手がけた「PEROs」は、「大泉スタジオにおける試作開発と実験的研究」((Prototyping and rototyping and Experimental Research in search in Oizumi Studio)のことだ。東映アニメーションの演出・作画技法といった伝統に最新のデジタル技術による「革新」や「想像力」「創造力」を組み合わせ、新たな映像表現の挑戦とオリジナルIP開発に取り組む。
 『URVAN』は新技術・オリジナルIPの研究開発の一環として、2020年春にプロジェクトを始動した。アニメ制作のメインスタッフには若手スタッフを多数起用、自由な発想による映像作りを目指した。
 プロジェクトのテーマは、「地方創生×産学共同×新規IP開発」である。作品では地元の風景や特産品、文化といった地域資源とクリエイティブが融合している。これらにサイバーパンクやアクションといった要素を組み込むことで、地元の人にとっても新鮮な 「尖った」「映える」映像とした。

 しかし2020年はコロナ禍でもあり、プロジェクトを薦めるうえで様々な障害が起きている。この厳しい条件下で、現地に一度も行かずに地域の新たな魅力を創造したことも成果になっている。
 制作には長崎国際大学人間社会学部の尾場均研究室と連携が大きな役割を果たしている。佐世保の地域プロモーションを目的に、ゼミ生が地元の人だけが知る隠れた「地域資源」をピックアップし、これらを作品に取り込んだ。尾場ゼミがプロデュースするキャラクター「碧波みなと」を使った作品のプロモーションも実施する。
 またコロナ禍による移動制限によって佐世保での現地取材・ロケハンが困難になった「PEROs」チームのために、尾場ゼミの学生が佐世保の風景写真を撮影した。これをもとに東映アニメが背景素材を作成した。

 今後、映像は1月下旬に全編(約5分)の公開を目指す。東映アニメーションYouTube公式チャンネルでの配信、ケーブルテレビ「テレビ佐世保」での放送も予定している。

『URVAN 』(ウルヴァン)
原作・製作: 東映アニメーション株式
協力・現地コーディネート: 長崎国際大学 人間社会学部 国際観光学科 尾場均研究室
ロケハン協力: 長崎県フィルムコミッション

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