外部スタジオ制作作品をプロデュース、トムスが「UNLIMITED PRODUCE プロジェクト」スタート
- 2021/7/1
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アニメ大手のトムス・エンタテインメント(TMS)は、これまで培ってきたアニメ作品のプロデュース機能を外に向けて拡張する。2021年7月、同社は「UNLIMITED PRODUCE プロジェクト」の始動を発表した。
プロジェクトは新作の企画・製作・事業・宣伝といったプロデュース業務を強化するものだ。外部スタジオとの協業を軸にすることが大きな特長だ。TMS内やテレコムアニメーションフィルといったグループ会社で制作したアニメだけでなく、他社スタジオがアニメーション制作した新規作品を自社プロデュース作品として取り組む。
プロジェクト第1弾は、2021年7月8日にNetflix で世界独占配信を開始する『バイオハザード:インフィニット ダークネス』となる。本作は新進のCGスタジオQuebicoとTMSが共同制作をした。プロデュース面のビジネスをTMSが担当する。
TMSはセガサミーグループのアニメ事業会社で、東京ムービーに源流を持つ老舗のアニメ企業である。『名探偵コナン』、『ルパン三世』、『それいけ!アンパンマン』など人気作品を多く手がける。自社でアニメーション制作するほか、テレコム・アニメーションフィルム、マーザ・アニメーションプラネット、トムス・ジーニーズといったグループ制作会社がある。
これまでもアニメーション制作において制作の一部を外部スタジオに再発注することはあった。しかし「UNLIMITED PRODUCE プロジェクト」では、協業スタジオが制作した作品をプロデユースするかたちとなる。長年、自社内で蓄積してきた番組販売やラインセンス活用、宣伝といったノウハウを協業スタジオ作品でも活かすことになる。
また自社制作作品だけとの枠組を破ることで、今後の高いビジネス成長も目指せる。「UNLIMITED」のブランドからも、そうした方向性が窺える。
TMSは新プロジェクトの取り組みについて、これまでにないビジネススキームを構築することで新しい利益配分の仕組み作りに挑戦したいと説明する。またアニメ業界での経験とネットワークを活かすことで、作品企画と制作スタジオのマッチングを実現し、良質な作品を実現できるという。
また制作会社によるプロデュースは、制作会社の立場を理解している点で制作会社や制作スタッフへの利益が還元をより考えられるとする。他社プロデュース会社にない利点だ。
アニメビジネスの成長と多様化、急激な変化が起きており、関連企業のありかたも変わりつつある。近年はDVDやBlu‐rayを発売してきたビデオメーカーの総合アニメ企業化=プロデュース企業化が注目されていた。そのなかで大手制作会社もまた総合企業化に進むことになる。
TMSは『バイオハザード:インフィニット ダークネス』以外にも、複数の企画が進行しているとする。今後も有力作品のプロジェクトを随時発表する予定だ。アニメ制作会社の攻めの姿勢が、21年以降のアニメ業界のなかで見逃せない動きになりそうだ。
トムス・エンタテインメント
https://www.tms-e.co.jp/