中国企業の日本アニメーション産業への投資が活発化している。当初は、中国での配信権やゲーム化権が中心だったが、2016年には中国企業が日本のアニメスタジオにアニメーション制作を発注する作品が相次いだ。中国とのアニメビジネスは新しい段階に入ったとみられるが、2017年以降はさらに一歩進んだ新たな枠組みが登場する。
中国の映画会社である上海鷹獅影業投資有限公司、上海合源文化伝媒有限公司などが「中・日アニメファンド」を組成する。ファンドの目的は日本と中国でアニメの才能やスタジオを発掘し、中国市場で展開するためのコンテンツ製作支援である。ファンド設立時の規模は100億円、将来的には世界規模のヒット作も狙う。中国企業が日本のアニメのスタジオやクリエイターの発掘を目指し、企画から関わることになる。
ファンドの運営にあたり上海鷹獅影業投資、上海合源文化伝媒は、日本のキャラクター・ブランド会社のDLEと共同出資の鷹獅ディー・エル・イー会社を設立した。DLEは新会社の19%を出資する。
鷹獅ディー・エル・イーは、「中・日アニメファンド」の日本企業への投資、作品プロデュースの中核業務を担当する。DLEによれば既に複数の企画が進行している。
さらにDLEの代表取締役である椎木隆太氏は、ファンドと連携する組織「中・日アニメイノベーションフェローシップ」の理事にも加わる。フェローシップの理事は、中国の映画、アニメーションの業界団体や企業のメンバーから構成され、日本からはスタジオ4℃の代表取締役でプロデューサーの田中栄子氏も加わっている。
椎木氏はこの日本側の理事長に就任する。中国側の理事長で前上海美術電影社長、現在は上海鷹獅影業投の董事長兼CEOである銭建平氏と共にフェローシップのイニシアティブを持つことになりそうだ。
アニメイノベーションフェローシップは上海国際映画祭で新鋭アニメ交流会を経て、10月の東京国際映画祭の時期に投資対象となったアニメタイトルの発表会を行う予定だという。
今回、ファンドで大きな役割を果たす上海鷹獅影業投資は、映画やアニメーションためのオリジナルIP開発を目的に2016年2月に設立されたばかり。海外とのアライアンスを重視しているのが特徴だ。また、上海合源文化伝媒は2014年設立のアニメーション制作会社で劇場、テレビシリーズ、教育用と幅広いジャンルを手がけている。