日本初のアニメ誌「アニメージュ」と鈴木敏夫の編集者の仕事がテーマの展覧会

「アニメージュとジブリ展 」

 日本発の本格的な商業アニメ雑誌として1978年に創刊した「アニメージュ」と鈴木敏夫氏の編集者として仕事にフォーカスした展覧会が2021年4月15日から東京・松屋銀座で開催される。「アニメージュとジブリ展」とタイトルされた企画で、松屋銀座を皮切りに全国を巡回する。
 ここでフォーカスされる鈴木敏夫氏は、高畑勲、宮崎駿両監督の作品を数々手がけてヒットに導いたスタジオジブリのプロデューサーだ。現在は映画のプロデューサーと知られるが、若き日は雑誌編集者としてキャリアをスタート。アニメ雑誌「アニメージュ」編集時代に宮崎駿、高畑勲のふたりに出会い、それが後のスタジオジブリの誕生につながっていった。展覧会では、この「アニメージュ」と鈴木敏夫氏のつながりからスタジオジブリの原点も解き明かしていく。

 「アニメージュ」は1978年5月に日本で初めての本格的商業アニメ月刊誌として、いまから40年以上も前に登場した。最も長い歴史を持つアニメ雑誌でもある。
 2020年代の現在は最新アニメの情報、スタッフや声優の話などは、ウェブや雑誌、ラジオ、テレビなどに溢れている。しかしアニメファンがようやっと姿を見せた70年代は、「アニメージュ」は数少ない情報源としてアニメファン必須のものであった。制作スタッフや制作現場の裏側をインタビュー記事や豊富なグラビアページで特集するかたちは、現在のアニメ情報メディアの原点でもある。

 鈴木敏夫氏は創刊当初の編集の中心で、『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』など当時若者に人気だった作品を積極的に取り上げて、アニメブームを築くのに一役買った。なかでも宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』を連載し、それをアニメ映画化したことは日本アニメ歴史の大きな礎となった。それがスタジオジブリ設立につながっていくからだ。
 展覧会では、鈴木敏夫氏が編集を務めた創刊から1989年11月号までの12年弱にわたる「アニメージュ」を中心に構成する。雑誌を作るうえでのプロデュース術、その後の作品制作への影響などを見渡す。

 展示エリアは「アニメージュ」の歴史を追うかたちで、4つのエリアで構成する。「アニメージュ誕生!「テレビまんが」からアニメブームへ」、「アニメージュは私たちにすべてを教えてくれた ガンダムが変えた歴史」、「加速するアニメブーム 拡大するアニメージュ」、「ナウシカへの道 一冊の雑誌から映画が誕生」だ。
 70年代のアニメ映画ポスター、アニメグッズ、セル画コレクションなどを展示。「アニメージュ」に先行して存在したアニメ関連出版物も広く紹介する。さらに「機動戦士ガンダム」にフォーカス、「アニメージュ」の付録グッズや冊子、ポスター、広告物を並べる。
 さらに高畑勲と宮崎駿との関係を取り上げる。82年2月号の原作マンガ連載開始から84年の映画『風の谷のナウシカ』誕生までの振り返りは、本展の目玉になりそうだ。ここではレイアウトや原画、美術ボードなどの資料も多数展示する。
 昔のファン懐かしいだけでなく、新しい世代にとってはアニメファンムーブメントの軌跡を知る貴重な機会になりそうだ。

『「アニメージュとジブリ展 」一冊の雑誌からジブリは始まった』
https://animage-ghibli.jp/
2021年4月15日-5月5日 松屋銀座8階イベントスクエア
企画制作:ニュートラルコーポレーション
企画協力:スタジオジブリ・三鷹の森ジブリ美術館
協力:徳間書店、マクセル

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