エンタテイメント大手KADOKAWAが経営陣の大きな異動を行う。2021年6月22日予定で代表取締役社長の松原眞樹氏が退任し、現取締役でドワンゴ 代表取締役社長の夏野剛氏が新たに就任する。松原眞樹氏は代表権のない取締役副会長となる。
代表取締役で執行役員チーフ・アニメ・オフィサーの井上伸一郎氏も退任、新たに顧問に就く。現人事・総務担当の取締役・山下直久氏が代表取締役に昇格する。チーフ・アニメ・オフィサーは執行役員の菊池剛氏が引き継ぐ。
また台湾出身で海外事業に経験がある若手の周欣寧氏が取締役になる。周氏は中国市場向けマーケティングのJ-GUIDE MARKETINGの常務取締役も務めている。
さらに社外取締役ではバンダイナムコホールディングス出身の高須武男氏が退任。元NTT代表取締役で相談役の鵜浦博夫氏が就任する。
夏野剛氏は1965年生まれの56歳、大学卒業後に東京ガスに入社した。その後ネット接続サービスのハイパーネットを経て1997年にNTTドコモに移り、iモード立上げの立役者となる。2008年、現在KADOKAWA傘下にあるドワンゴの取締役になり、2019年にはドワンゴの立て直しを託されて代表取締役社長につき、KADOKAWAの取締役も務めていた。
KADOKAWAは今回の異動の目的に、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を含めた経営スピードの加速と変化による改革実行を挙げる。それがIT分野に詳しい夏野氏の起用につながったとみられる。また経営におけるグローバル視点の強化も挙げており、こちらは周氏の起用につながる。
新しい体制は、取締役、社外取締役、執行役員を合わせて、夏野氏の人脈も色濃く反映している。従来に比べて出版やコンテンツからIT・通信分野の人材配置が厚くなっている。海外出身者、女性の登用も進めている。
経営陣の人事異動は6月22日の株主総会と取締役会で正式決定する。これに先駆けて4月1日付けで執行役員人事も行う。執行役員ではメディアファクトリーの代表取締役社長も務めたチーフIP・オフィサーの芳原世幸氏が退任、顧問に就任する。横沢隆氏が角川メディアハウス 代表取締役社長に異動する。