2021年3月8日に全国公開となった劇場アニメ『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が、記録的なスタートを切った。3月8日月曜日の初日だけで興行収入8億277万4200円に達し、観客動員数も53万9623人となった。
興行収入は前作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』対比123.8%。週末初日から平日月曜日に変ったにも関わらず『:Q』を大きく上回っている。シリーズ最大の53億円となった『:Q』を越える大ヒットを期待させるのに十分な結果だ。
もともと『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は、前作から8年ぶりの新作、かつ完結編として2020年6月27日公開を予定していた。映画を盛り上げるコラボレーションやプロモーションの多くもこれに合わせて企画されていた。
それが新型コロナ感染症の影響で2021年1月23日に公開日を変更、さらに新型コロナの再拡大で3月8日に再延期された。加えて首都圏の緊急事態再宣言の終了を読み込んでの3月8日の3度目の公開日設定であったが、緊急事態再宣言が延長される。大作映画としては異例の平日月曜日の初日のみならず、一部の地域では夜間の上映が出来ないとの逆風下での出発となった。しかし、新作を待ちわびるファンの力がこれを押し返したかたちだ。
異例の興行成績でのスタートになったが、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の快進撃はしばらく続きそうだ。当初から配給が製作のカラーと東宝、東映というふたつの大きな映画配給会社が手を組む、こちらも珍しい強力な体制になっている。
また1995年のシリーズ誕生25年を越える歴史のなかで作品のファンが一般層に広がっている。公開当初は熱心なファン、これから迎える週末以降はそうした一般ファンの動員が期待できる。米国産の大作映画がほとんど公開されてないこともあり、通常以上のロングラン興行も期待出来る。大きなヒットになりそうだ。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のヒットで、映画興行での国内アニメの好調さが改めて確認された。2020年10月に公開した『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』が国内映画興行史上最高になった後も、『えんとつ町のプペル』やシリーズ最高の興行収入なった『銀魂 THE FINAL』、TV版の総集編を映画とした『名探偵コナン 緋色の不在証明』が10億円突破目前になるなどアニメの好調が続いている。
1月、2月の映画興行全体は前年比減少だが、邦画、なかでもアニメの多い東宝の同じ時期の配給作品の興行収入は前年同期比67%増である。いましばらく邦画、そしてアニメが国内映画市場を牽引することになりそうだ。