アニメ製作のIGポートは2020年7月10日に発表していた通期決算を、7月31日に一部訂正したと発表した。会計監査人からの指摘により、製作委員会関連の取引を再整理した結果であるという。
通期連結売上高は94億4600万円から90億6200万円に、営業利益は3億5100万円から2億8200万円に、経常利益は2億9100万円から2億2200万円に引き下げられた。また当期純利益2000万円は純損失2200万円に変更された。
通期で最終赤字に変るが、IGポートは2020年5月期と2021年5月期を通してみれば、利益に与える影響は軽微であるとしている。
今回の訂正は、IGポートと会計監査法人との売上高に関する解釈の違いについて発生したとみられる。
IGポートでは、アニメーション制作子会社が製作委員会に対して一部出資をしている。同時に同じ作品で、製作委員会からアニメーション制作の受託をする。製作委員会からのこの受託金額を売上げとして計上するが、今回は売上げ計上を見直し、金額を引き下げた。
一方で製作出資金額については、完成した作品を映像マスターとして減価償却を実施している。映画・アニメ製作では、通常は映像マスター(この場合はアニメ作品)を1年から2年程度で減価償却するためだ。
しかしこれについても、今回の訂正前より映像マスターの一部減価償却費、受注損失引当金等が税務上の損金として認められなかったと報告している。このため当初見通しより税金費用が増加した経緯がある。
製作出資者でアニメーション制作の発注者である同時に、その受注者であるという立場の難しさが解釈の違いを生んだとみられる。