集英社はマンガと新しいビジネスアイディアを結びつける事業「集英社 スタートアップアクセラレータープログラムマンガテック2020」を7月に開始した。プログラムでは、マンガと異分野やテクノロジーを結びつけたアイディアを社外からコンテスト形式で広く募集する。選ばれたアイディアの事業化を目指す。
集英社は「エンタメ業界を変革するような新規アイディア、ビジネス」を掲げて、これまで思いつかなかった分野やアイデア・テクノロジーとマンガの組み合わせなどを求める。斬新な事業アイディアを支援することで新たなマンガビジネスを目指す。
アクセラレータープログラムとは、大企業や行政がベンチャーやスタートしたばかりの企業のアイディアやテクノロジーを支援する方法として近年急激に広がっている。資金や人脈などが不足するベンチャー企業と新しいビジネスのタネに悩む大企業を結びつける。参加企業もテック企業やメーカー、サービスと多岐に及んでいる。
エンタテイメント企業も例外ではない。国内ではソニーミュージックグループの「ENTX」、バンダイナムコグループの「バンダイナムコアクセラレーター」などが実施されている。すでにプログラムに参加した企業へ各社が出資する例もでている。集英社もこうした列に加わることになる。
「マンガテック2020」では、まず9月30日までアイディアを募集する。3次にわたる選考を経て、最優秀、優秀など5者を選出する。選出されると事業化資金のほか、アクセラレータープログラムへの参加権が与えられる。
より重要なのはプログラムで、4ヵ月間、事業化のアドバイス、集英社のノウハウ・チャネルの提供などの起業家・経営支援をする。集英社との共同ビジネスの検討も行う。
集英社は「少年ジャンプ」ブランドを中心に多くの大ヒットマンガを持つ。そのビジネスは映像化やイベント、商品化、海外にまで広がる。いまマンガビジネスでは、日本で最も強力でもある。
一方で 出版業界は現在コンテンツの流通の大きな部分が紙からデジタルに移行しつつある。このなかでマンガ出版はIT企業のひとつともみなされる。豊富なコンテンツを抱える集英社だが、テックを中心とした新事業では社内リソースでカバーできないジャンルも多い。そこで今回のアクセラレータープログラムが生まれたと言っていいだろう。
大手出版社の新しい試みが、マンガ界にどんな風を巻き起こすのか。その成果に注目が集まりそうだ。
「集英社 スタートアップアクセラレータープログラムマンガテック2020」
https://shueishamangatech.com/