ヤフー傘下の電子書籍会社イーブックイニシアティブジャパンの業績が好調だ。2020年4月24日に発表した20年3月期の決算は、大幅増収増益を実現、その勢いを示した。
売上高は212億8100万円と前年の24.4%増を上回る43.9%増の高い伸びとなった。営業利益は7億9300万円(36.1%増)、経常利益は7億9500万円(34.1%増)、当期純利益は5億4400万円(228%増)である。
事業成長は2016年のヤフーとの資本提携の影響が大きい。19年6月にヤフーと電子書籍販売事業を統合し、ヤフーユーザーの流入が続いているとみられる。またPayPayと連携したキャンペーンも成果を上げた。
やはり成長が大きいのは電⼦書籍事業で、売上高162億3600万円(55.7%増)。一方で電子書籍の仕入れにあたる版権使用料も拡大している。こちらは92億1600万円(64.6%増)と売上高を上回る伸びとなっている。ライバル事業者が多い中で、版権使用の単価が上昇している可能性がある。
またイーブックはクロスメディア事業で、紙書籍のオンライン販売も行っている。こちら15.7%増で50億4500万円の売上だった。前期の赤字から黒字に浮上した。
気になるのは現在も続いている新型コロナ感染症拡大の影響である。外出自粛のなかでデジタル配信利用者が増加しているとされ、事業に追い風が指摘されている。
しかしイーブックは第4四半期後半において市場ニーズの拡大による⼀定の増収効果は推測されるが、明確な影響は算定できないとしている。同時期に電子書籍サービス促進強化のキャンペーンなどもあったためだという。
今後もイーブックは、ソフトバンク、ヤフー、PayPayなどグループ企業との連携を強化することで事業さらなる展開を掲げる。とりわけ電子コミックでは国内取扱高1位を目指すとしている。
また2021年3月期の業績予想は売上高、営業利益ともおよそ10%増。売上高235億円、営業利益、経常利益はそれぞれ8億8000万円、当期純利益は6億円を見通す。