2019年から2020年にかけて、米国では映像配信プラットフォームの競争が激化している。既存のNetflix、Amazonプライムビデオの後を追い2019年にはディズニー系「Disney+」がスタート、今年はNBCユニバーサルの「PIECOCK」も始まる。
ワーナー・メディアが展開する「HBO Max」もそのひとつだ。ワーナーはハリウッドでも指折りの巨大映画会社だが、ライバルたちはいずれも強力である。そこで得意とする映画を切札のひとつとする。
2020年2月5日、ワーナー・メディアは、HBO Maxの関連事業として配信オリジナルのための新しい映画製作レーベル「Warner Max」を設立と発表した。制作にあたっては、映画部門のワーナー・ブラザースが協力する。
Warner Maxは、オリジナル長編映画を年に8作品から10作品を製作する。HBO Maxとワーナー・ブラザースが協力して企画を決定する。
作品は予算の大きい(ビッグバジェット)でなく、もう少しコストを下げた(ミドルバジェット)の作品を想定している。また制作にあたっては、ワーナー・ブラザースの映画制作の機器・施設を用いる。
いっぽうでワーナー・ブラザース自体のミドルバジェットの映画、グループ会社で中小規模作品を得意とするニューラインシネマは現状の体制で劇場映画を製作する。グループ全体ではミドルバジェット帯の厚みが増す。これまでチャンスのなかった企画にも実現の可能性が広がる。Warner Maxの作品は、ターゲットを絞ったもの、配信向けに特化する。最初の作品は2020年中にも登場する。
ライバルとなるNetflixはシリーズドラマだけでなく、長編オリジナル映画にもすでに力をいれている。2018年からは『ROMA/ローマ』や『アイリッシュマン』、『2人のローマ教皇』など賞レース争いに加わる傑作も出ている。Warner Maxはこれを意識したものとなる。
Netflixでは2019年末に初の自社企画のオリジナル長編アニメーション『クロース』の配信もしている。さらに今後も年数本のオリジナル長編アニメーションを送りだす予定だ。Warner Maxは現時点でアニメーション映画に対する言及はないが、今後の動向は気になるところだ。