文化庁は2019年度の文化庁映画賞の文化記録映画部門の受賞作品と映画功労部門の受賞者を10月3日に発表した。文化記録映画大賞には信友直子監督の『ぼけますから、よろしくお願いします。』が決定、映画功労部門では7名が選出された。
文化庁映画賞は、日本の映画芸術の向上と発展を目的に2003年に第1回が実施されている。毎年文化記録映画部門では優れたドキュメンタリー映画に、映画功労部門では長年業界に貢献してきた人物を顕彰する。
功労部門の特長は国内外の多くの映画賞が監督や役者を中心にスポットを当たりがちな中で、撮影や美術、証明、編集、研究、評論など映画を支える幅広い役職をカバーしていることである。
2010年度からはアニメーション映画分野で活躍した人物も多く選ばれるようになっている。これまで監督、美術、編集、音響、アニメーター、製作プロデューサーから10人あまりが受賞をしている。
今年度の功労部門にも、アニメに馴染み深い名前が挙がっている。映画音楽の渡辺宙明氏である。映画音楽からの受賞者は、文化庁映画賞で初になる。
1925年生まれの渡辺氏は今年95歳と、業界の先駆者であり重鎮だ。映画音楽のデビューは1956年の中川信夫監督『人形佐七捕物帖 妖艶六死美人』。その仕事は多くのジャンルにまたがる。しかしその経歴のなかでも特に輝くのは、特撮・アニメのための音楽だ。1972年の特撮テレビ『人造人間キカイダー』、同年のテレビアニメ『マジンガーZ』を皮切りに、人気作品の音楽に相次いでかかわる。代表作には『秘密戦隊ゴレンジャー』、『宇宙刑事ギャバン』、『ふたりはプリキュア』でも新曲を提供した。