米国アカデミー賞を運営する映画芸術科学アカデミーは、現在、建設中のアカデミー博物館(Academy Museum)の新しいディレクターとしてキャサリン・デショー氏が就任することを発表した。デショー氏は、ロサンゼルス・カウティ美術館やウォーカー・アートセンターの資金調達キャンペーンで手腕を発揮したことで知られる。3億8800万ドル(約400億円) になる博物館の建設費の残り1/3相当(約130億円)の資金調達への役割が期待される。
アカデミー博物館の建設費は当初3億ドルとされていた。しかし、今回の発表では建設資金は3億8800万ドルとなり、見込みより3割近く膨らんだ。そこでさらなる寄付の必要に迫られたようだ。博物館のオープンも2017年見込みとしていたが、現時点では正式なスケジュールは発表されておらず、2018年以降にずれ込むこともありそうだ。
アカデミー博物館は、映画芸術科学アカデミーとロサンゼルス・カウンティ美術館が協力し建設する。ロサンゼルス・カウンティ美術館に隣接するクラシックな旧百貨店の建物をリノベージョンしたレンゾ・ピアノ設計による巨大な施設は2万8000㎡にもおよぶ。ここで映画関連の展示、上映、教育などを行う。
建設資金の多くは寄付によるもので、デヴィッド・ゲフィン財団やスティーブン・スピルバーグ氏、ジェフリー・カッツェンバーグ氏らが大口の寄付をしてきた。今回は資金調達のベテランを起用することで、すでに建設に入っている博物館のオープンに向けて弾みをつける。
一方で博物館の公式サイトでは、気になる収蔵・展示品の一部がすでに公開されている。この中には『タイタニック』や『ゴッドファーザー』、ハリー・ポッターシリーズ、007シリーズなど作品に関わるものから、クリント・イーストウッド、バーバラ・ストライサンド、ヒッチコック、ジェームス・ディーンなどの俳優や女優、監督に関連するものが多数並べられている。『トイ・ストーリー』やギレルモ・デルトロなどこれまでロサンゼルス・カウンティ美術館で大型企画展が開催されたものもあり、その充実ぶりを期待させるのに十分だ。
さらに驚かされるのは、日本のアニメーション監督である宮崎駿に関するコレクションを掲げていることである。宮崎監督は『千と千尋の神隠し』のアカデミー賞長編アニメーション部門だけでなく、自身でも名誉賞を受賞している。米国アカデミーからの評価の高さは格別だ。コレクションには米国公開時のポスターや新聞、さらに『となりのトトロ』や『風の谷のナウシカ』のストーリーボードなども含まれている。こちらも博物館オープン時には大きな話題を呼ぶに違いない。
Academy Museum http://www.oscars.org/museum