米国の映画芸術科学アカデミー(The Academy Museum of Motion Pictures)は、米国エンタテイメント業界の大物事業家ハイム・サバンとシャリー・サバン夫妻から、アカデミー博物館(The Academy Museum)のために5000万ドル(約56億円)の寄付を受けたことを発表した。アカデミー博物館は、米国の映画文化と産業の一大拠点としてロサンゼルス市内で建設が進められている。
博物館のオープンは当初2017年とされていた。しかし、歴史的な建築を取り込んだうえで球形の新棟を新設するレンゾ・ピアノ氏設計の博物館の建造予算が嵩んでいる。建築費の総額は3億8800万ドル(約435億円)にまで膨れ上がり、オープンが延期されていた。
映画芸術科学アカデミーはこれまでも、デビッド・ゲフィン財団、ドルビー一族、スティーブン・スピルバーク、ジャフリー・カッェンバーグといったハリウッドの有力者、さらに中国のワンダ・グループからも大型寄付を受けている。それでもなお1億5000万ドルの資金が不足していた。
そうしたなかでのサバン夫妻からの寄付は、これまで受けたなかでは最高金額となる巨額のものだ。これで必要資金の3/4が確保された。映画芸術科学アカデミーはこれを受けて、博物館のメインビルを「サバン・ビル」と命名することを決定した。
また博物館のオープンが2019年であることが明らかになり、最新のコンセプトアートも公開された。いよいよアカデミー博物館の実現が近づく。
ハイム・サバン氏は、フランスでの日本アニメ・音楽ビジネスの成功で、グローバルなエンタテイメント業界での足場を築いた。その後、日本のスーパー戦隊シリーズを東映から輸入した。この大胆なローカライズが大人気を博して巨大な資産を得た。さらにABCファミリー、ドイツのプロジーベンサット1、スペイン語放送のユニビジョンなどの有力メイディア企業の買収・売却を繰り返し資産を増やしている。
現在は、サバン・ブランズを中心に映像メディア・ブランドマネジメント事業を手がけている。2017年公開のハリウッド映画『パワーレンジャー』の製作でも話題を読んだ。
一方で精力的なチャリティ活動でも広く知られている。その範囲は子どものための教育プログラムや、病院、テレビ業界団体などにも及ぶ。同時に米国で最も有力な民主党の献金者ともされている。今回は、自らの事業の基盤ともなっている映画業界への貢献となる。
アカデミー博物館(The Academy Museum)
https://www.academymuseum.org/