テレビ東京ホールディングスが5月16日に明らかにした2019年3月期決算で、グループ会社テレビ東京のアニメ事業がさらに拡大していることがわかった。グループ連結売上高は1492億2900億円(1.4%増)と9年連続増加となったが、このうちテレビ東京のアニメ事業の売上高は202億9200万円(4.7%増)と全体の13%を占めた。
このほかグループでは売上高51億9000万円(14.1%減)のアニメ専門チャンネルのAT-Xや、音楽出版関連でのアニメ音楽、BS放送事業でのアニメ製作出資等もある。テレビ東京ホールディングス全体でのアニメ事業はさらに大きくなる。
2019年3月期のアニメ事業での大きなトピックスは売上高200億円の大台突破したことだろう。10年前、2010年の売上高は61億4900万円だから、10年間で3.3倍になった計算だ。
業績を牽引するのは海外ビジネスである。売上げのうち67%以上が海外で137億4300万円(5.3%増)、国内が32%の65億4900万円(3.3%増)。中国を中心に『NARUTO』の配信、ゲームが堅調だった。そのほか『BORUTO』、『遊戯王』、『ブラッククローバー』などが主要タイトルであった。ただし国内は商品化、ビデオグラム(映像ソフト)が減少した。
[アニメ通期タイトル別売上高ランキング]
① 『NARUTO』
② 『BORUTO』
③ 『遊戯王』
④ 『ブラッククローバー』
⑤ 『BLEACH』
[アニメ通期タイトル別粗利益ランキング]
① 『NARUTO』
② 『BORUTO』
③ 『ポケットモンスター』
④ 『ブラッククローバー』
⑤ 『遊戯王』
アニメ以外のコンテンツ収入も伸びている。売上高は67億700万円(8.7%増)で、割合は小さいが海外番組販売が中国向け好調で5億7300万円と81.3%増と高い伸びとなった。
また国内動画配信向けの売上げが大きく、全体の50%を占める33億5600万円(12%減)。『青春高校3年C組』『TVチャンピオン極~KIWAMI~』、『恋のツキ』が主要タイトル。映画事業は『BLEACH』が伸び悩み、『銀魂』、『アウトレイジ最終章』が好調だった。
テレビ東京HD代表取締役社長の小孫茂氏は、通期決算の前期の好調な業績についてアニメ事業に言及している。放送収入が減少する一方で全体の売上げを支えたのが放送外収入で、アニメの海外売り上げと配信収入の伸びが牽引したと指摘する。
今期はアニメやライツ事業、イベント関連などで、さらに放送外事業を伸ばす見込みだ。将来に向けて、アニメコンテンツへの先行的な投資支出を増やしているとも述べた。経営トップ自らアニメ事業の積極性を打ち出したかたちだ。
こうした取り組みは6月25日付で実施されるテレビ東京の組織改革にも現れている。これまでコンテンツ事業とアニメ事業、ビジネス開発事業を統括していたライツビジネス本部の名称をアニメ・ライツ本部に改称する。同部門のアニメ事業の大きさを反映したかたちだ。テレビ東京はアニメの配信や海外ビジネスをさらに積極的に進めるためと説明する。
また編成局を総合編成局と改称し、その下にデジタル編成部を設置する。配信ビジネスの拡大を視野にいれたもので、こちらも時代を先取りする。