アサツー ディ・ケイ(ADK)がアニメーション事業の強化を急ピッチで進めている。2018年12月20日、ADKは三菱商事との共同出資子会社であるディーライツの完全子会社化を発表した。ディーライツはコンテンツ開発・権利マネジメントの有力会社だ。
ディーライツはADKが株式の51%、三菱商事が49%を保有していた。ADKは12月20日付で三菱商事の株式持分の全ての譲渡受けた。これによりディーライツはADKの100%子会社になる。株式譲渡金額は非公表。
ADKは国内広告企業の大手だが、アニメ関連ビジネスを得意とすることでも知られている。自社アニメ事業のほか、アニメ制作会社のエイケンを子会社とするほか、2017年には同じくアニメ制作のゴンゾも子会社化した。アニメビジネスを主力事業として位置付けて、積極的に展開している。
2019年1月からのグループ再編では、コンテンツ事業にフォーカスするADKエモーションズも主要会社として設立される。これに合わせてディーライツの完全子会社化に動いた。ディーライツをADKエモーションズのアニメビジネスの主要事業会社に位置付ける。
ディーライツは1988年に未来計画株として設立。2001年に三菱商事が買収したことで、そこからアニメ企画・権利マネジメント企業に大きく舵を取る。
ビジネスの流れは大きく変遷しており、当初は『マリア様がみてる』『隠の王』などの深夜アニメの製作も行い、スタジオジブリ作品への出資もしていた。一方で長年玩具連動型のテレビアニメを得意とし、近年は「ベイブレード」シリーズに代表されるグローバル規模の玩具とアニメの連動プロジェクトに注力していた。
2015年にADKが株式の51%を取得。ビジネスの主導はADKに移っていた。このため完全子会社化でも事業方向性には大きな変化はないとみられる。
しかし完全子会社となることでよりADKグループとの連動が高まりそうだ。得意とするライセンスマネジメントのノウハウや、グローバルでのネットワークをADK関連作品で幅広く活用することが期待される。