1946年にスタートし、日本でも有数の歴史を誇る毎日映画コンクールが2018年第73回のアワードの最終候補者・作品を発表した。アニメーション関連ではアニメーション映画賞と大藤信郎賞のふたつのアワードの対象をひとつにまとめて作品を候補に挙げた。
候補作品全部で18本。公募された中から3人の1次選考委員が劇場公開された長編映画が5本、短編映画が13本を選びだした。今後は5人から構成される2次選考委員により、アニメーション映画賞と大藤信郎賞が決定のうえ発表される。
アニメーション関連のふたつの賞のうち、アニメーション映画賞は2018年の映画のなかで最も優れた作品に、大藤信郎賞は斬新な表現のあった作品に与えられる。1962年設立の大藤信郎賞は、国内で現在まで続くアニメーション映画賞では最も古い歴史を誇っている。
アニメーション映画賞はこれまで劇場長編映画の受賞が多く、大藤信郎賞は短編・中編・長編、それに技術や具体的な表現手法を挙げるなど様々な事項を対象にしてきた。こうした多様性こそが毎日映画コンクールの特長と言っていいだろう。
一方2018年の候補作品にも、ひとつの方向性が見られる。劇場映画5作品は、日常とつながった地続きの物語が多く見受けられる。またシリーズ作品は少なく、オリジナリティが重視されていることが窺われる。
短編は近年の短編アニメーションシーンの傾向である学生作品の多さが際立っている。そして学生・若手に限ると、候補作の大半は女性監督だ。これもアニメーションシーンの新しい流れと言えそうだ。
[毎日映画コンクール
アニメーション映画賞・大藤信郎賞 最終選考作品]
【長編アニメーション】
『さよならの朝に約束の花をかざろう』 (岡田麿理)
『ペンギン・ハイウェイ』 (石田祐康)
『未来のミライ』 (細田守)
『リズと青い鳥』 (山田尚子)
『若おかみは小学生!』 (高坂希太郎)
【短編アニメーション】
『あの地』 (佐藤華音)
『あのねのかぼちゃ』 (佐藤美代)
『In the cage』 (江口詩帆)
『ケアンの首達』 (副島しのぶ)
『真珠草』 (山崎スヨ)
『旅メーション「死生学」』 (大西宏志)
『ちいさな英雄』「透明人間」 (山下明彦)
『SCREEEEEN』 (蓮見李奈)
『タンポポとリボン』 (若井麻奈美)
『DREAMLAND』 (水江未来)
『浜宿海岸のうわさ』 (柿崎真帆)
『夜になった雪の話』 (幸洋子)
『like I used to』 (石川葉津季)