人気のアニメ「エヴァンゲリオン」シリーズの最新作の劇場公開が2020年になることが、2018年7月20日に発表された。この日、全国劇場で本作の特報がサプライズで上映を開始し、さらに作品公式サイト、製作のカラーの公式サイトでも告知された。
タイトルは『シン・エヴァンゲリオン劇場版』、総監督・庵野秀明氏のもとスタジオカラーが制作する。映画は2007年に『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』からスタートした劇場シリーズの第4部となる。公式サイトでは物語の完結にも言及しており、公開時には大きな話題になりそうだ。製作はこれまでどおりカラー、公開時期は2020年とだけし、詳しい時期は明らかにしていない。
2018年夏の映画シーズンが始まるのに合わせた劇場特報が第一報との意表を突いた発表は、「エヴァンゲリオン」シリーズらしい。同シリーズはこれまでも重要な発表では、記者会見やプレスリリースなどでなく、ファンにダイレクトにメッセージを伝えることが多かった。またサプライズを重ねることで、作品に対するファンの熱度を高くする。
特報は現在はウェブやテレビでは公開されていない。7月20日から8月31日まで映画館限定で上映する。わざわざ観に行く体験を重視していることが分かる。実際の公開までにはおよそ2年あるが、すでに体験としての作品は始まっているというわけだ。
スタートから11年、ファンとのコミュニケーション姿勢は変わらない一方で、ビジネス面では大きな変化がある。ひとつは今回の配給が東宝と東映、カラーの3社が共同となったことだ。
2007年の『:序』、2009年の『:破』はカラーとクロックワークスの共同配給、2012年の『:Q』ではカラーとティ・ジョイが共同配給だった。それが今回はさらに大きな新しい枠組みに変る。『:序』の20億円からスタートした興行収入が40億円、53億円とどんどん大きくなり、公開当初の劇場規模拡大が必要になっていることも理由であろう。
しかし、ライバルでもある日本の大手映画会社が共同配給することは多くない。とりわけ東宝と東映の組み合わせは極めて異例だ。製作・宣伝も含めて、製作会社カラーがプロジェクト全体を統括する「エヴァンゲリオン」シリーズだからこそ、実現できたとも言える。映像だけでなく、ビジネス面でも常に新しいやりかたを摸索してきたのが「エヴァンゲリオン」シリーズなのである。
またカラーの関連Twitterでは、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』特報の制作スタッフが明らかにしている。そこにはCGIアニメーションディレクターの松井祐亮氏をはじめ、CGアニメーションのスタッフが多く名を連ねている。
これまでのシリーズでも最新のCG映像が多数盛り込まれたが、本作ではよりCGを積極的に活用するようだ。こうしたところにも時代の変化は現れている。
『エヴァンゲリオン』公式サイト
http://www.evangelion.co.jp/
カラー
http://www.khara.co.jp/
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』
2020年公開
総監督: 庵野秀明
制作: スタジオカラー
配給: 東宝 東映 カラー
製作: カラー
[特報スタッフ]
CGIアニメーションディレクター: 松井祐亮
CGIテクニカルディレクター: 鈴木貴志
CGIモデリングディレクター: 小林学
CGIアニメーション: 岩里昌則、仲眞良一
撮影: 平林奈々恵、矢辺洋章、山田豊徳
モニターグラフィック: 小林浩康
原画: 井関修一
動画: スタジオカラー
色彩設計: 菊地和子(Wish)
美術: 串田達也(でほぎゃらりー
リギング: 髙部翼