米国を代表するポップカルチャーイベントと、米国最大の日本アニメ・マンガイベントが提携し、新たなイベントを開催する。ニューヨークコミコン(New York Comic Con)を運営するReedPOPとアニメエキスポ(Anime Expo)を運営するSPJA(The Society for the Promotion of Japanese Animation)が、パートナーシップ締結を発表した。
両者は協力して、2018年10月4日から7日まで「Anime Fest @ NYCC x Anime Expo」をニューヨークの大型イベントスペース ピア94で開催する。同じ日程で国際展示場ジャビットセンターでは、ニューヨークコミコンも実施される予定だ。両イベントが連動する。
新イベントのプログラムは、アニメエキスポ側が担当する。日本からのゲストも招いた大掛かりな企画が期待される。
新たなアニメイベントの設立は、ニューヨークコミコン側に大きな理由がありそうだ。2006年にスタートしたイベントは急成長をしており、現在の来場者数はニューヨークコミコンより遥かに長い歴史を持つサンディエゴコミコンを上回り、コミコンイベントで米国最大だ。
一方で会場スペースの不足が近年深刻化している。そこで日本アニメ・マンガのカテゴリーを別イベント・別会場にすることで新たなスペース確保が可能になる。
同時に急成長部門である日本ポップカルチャーの強化も出来る。しかし主催者のReedPOPは、日本アニメ・マンガが必ずしも得意でない。2007年から2011年までニューヨーク・アニメフェスティバルを開催したこともあるが、長く続かずニューヨークコミコンに吸収した経緯もある。そこで日本企業とのコネクションが太く、アニメ・マンガ分野の経験が豊富なSPJAとパートナーを組むわけだ。
SPJAにとっても、今回の提携は意味が大きい。アニメエキスポは大きな成功を収めるが、SPJAにとってはイベントのフランチャイズは鬼門だ。
2002年にはアニメエキスポ・ニューヨークを、2004年にはアニメエキスポ東京を開催したがいずれも単発イベントに終わった。両イベントとも赤字だったとされている。2013年にはサンディエゴのAnime Conjiをグループ化したが、今年になり関係を打ち切った。
ニューヨークコミコンとの提携は、得意とするプログラム編成やイベント運営を活かせる一方で、不慣れなニューヨークでの会場確保、集客、チケット販売などでReedPOPのノウハウを利用できるからだ。
Anime Fest @ NYCC x Anime Expoはチケット販売を始めているが、複数日の通しはなく、シングルデイのチケットが10ドルから25ドル。ニューヨークコミコンのチケットと合わせると割引になる。ニューヨークコミコンとの双方の来場が期待されていることがわかる。
ニューヨーク地区は、2000年代初頭からいくつもの日本ポップカルチャーのイベントが立ち上がっては消えて行くことが繰り返されている。ふたつの巨大組織の連携で、新たなイベントが根づくのか、日本のアニメ・マンガ関係者にとっても見逃せない。
Anime Fest @ NYCC x Anime Expo
http://www.newyorkcomiccon.com/Explore/Anime-Fest-At-NYCC-x-Anime-Expo/