インターネットの情報交換で信用構築するシステム「ブロックチェーン」が、新しいビジネスチャンスを生みだすといま期待されている。仮想通貨をはじめ、ブロックチェーン技術が至るところで使われ始めた。そうした波は、アニメの世界にも広がっている。
ポップカルチャー分野でブロックチェーンの活用を目指すブロックパンクは、オリジナルアニメで二人の著名監督との提携を発表した。アニメで活躍する中澤一登監督、ホラー映画の大物の清水崇監督である。
またこの提携を機会に、ブロックパンクはアニメのコンテンツ販売サイトCrypto Anime(クリプトアニメ)の名称をBlockStudios(ブロックスタジオ)に変更する。ブロックチェーンのブランドを結びつけダイレクトにアピールする。
ブロックスタジオはクリエイターとファンの間に構築した自律型コミュニティシステムで、新しい報酬分配の仕組みを目指す。ブロックチェーン特有の分散型システムが、収益の中抜きや権利制限ないコンテンツを可能にするという。
コンテンツの決済は仮想通貨で行い、取引内容、著作権管理、所有権がブロックチェーンに記録される。これによりクリエイターとファンの双方が、作品販売や再販を通して利益を上げられとする。
ブロックスタジオのCEOであるジュリアン・ライハン氏によると、これまでのエンタテインメント業界のビジネスモデルは制作会社にとって必ずしも良いビジネス条件をもたらしていない。しかし、ブロックチェーンを使った新しい報酬分配システムは、クリエイターに資金調達の新しい選択肢を与えることになると説明する。
今回アニメ作品で提携することになった中澤監督は、アニメーターとしてキャリアをスタート。その後キャラクターデザイン、演出にも仕事を広げている。2003年の『キル・ビル』で世界的に名前をあげた。現在はオリジナルアニメ『B: The Beginning』の原作・監督として活躍中だ。
清水監督とブロックスタジオの提携は、中澤監督以上に驚きかもしれない。「呪怨」シリーズで世界的に知られるが、アニメとは距離があるイメージだからだ。しかし清水監督は「絵が好きで、子供の頃から自分で描き出したキャラクターが飛び回るのを夢想していました。絵本やアニメの世界は、僕の映画作りに次ぐ夢です」とブロックパンクとのアニメコンテンツ制作に意欲的だ。
ただし今回の発表では、具体的なアニメタイトルは発表されていない。どんなかたちのどんなコンセプトの作品かも不明だ。提携クリエイターに大物が並んだだけに、今後どう展開していくのか、続報からお目が離せない。
BlockStudios(ブロックスタジオ)https://blockstudios.net/jp