国内を代表する総合エンタテイメント企業のカドカワが、アニメーション制作に進出する。2018年6月1日、グループ主要会社のKADOKAWAが、2018年4月4日付で映像制作会社「株式会社ENGI(エンギ)」を設立したことを明らかにした。6月1日から営業を開始している。
株式会社ENGIは資本金1億円、KADOKAWAが53%出資するほか、遊技機事業のサミーが40%、さらにアニメ製作の持ち株会社ウルトラスーパーピクチャーズ(USP)も5%出資する。代表取締役社長にはキューテックの代表取締役社長も務めた梶尾徹氏が就任した。
取締役はKADOKAWAから堀内大示氏、菊池剛氏、さらにKADOKAWAグループの音響会社グロービジョン代表取締役社長の岡部俊一氏、サミーの徳村憲一氏が務める。監査役の山口貴氏はKADOKAWAの監査役もしており、KADOKAWA色の強い経営布陣だ。
一方で本社とスタジオは、USPグループ各社が拠点を持つ東京都杉並区上荻のインテグラルタワーに置かれる。制作面ではUSPのサポートが大きくなりそうだ。USP代表取締役の松浦裕暁氏は、KADOKAWA 戦略アドバイザーである夏目公一朗氏と共に新会社の顧問に就く。
新会社の目的は、出版や映像などでIP コンテンツを多く持つKADOKAWA と遊技機に実績の高いサミー、さらに2D、3Dの双方のアニメーション制作で人気作品を多く手掛けるウルトラスーパーピクチャーズが連携すること。これにより最新技術使った新しい映像コンテンツを生みだす。
従来の手描き2Dでも、CGだけでもない“ハイブリッドデジタルアニメーション制作”を掲げることに今回の狙いがありそうだ。近年、ますます勢いを増す2Dと3Dを融合させたデジタルアニメの制作で、今後の主導権を取りたいとの考えが垣間見える。
KADOKAWAは、マンガ、小説、ラノベなどでアニメの原作になる作品を多く抱える。これまではアニメの企画・プロデュース、映像パッケージの発売や劇場配給など様々なアニメビジネスに関わってきた。今回はさらにアニメーション制作にも進出することになる。ENGIがバンダイナムコグループのサンライズ、アニプレックスのA-1 Picturesのような存在になるのかが、今後の注目点だ。
またサンジゲン、ライデンフィルム、トリガー、ギャラクシーグラフィックス、TENH ANIMATION MAGICと既に複数のアニメーションスタジオを傘下に持つUSPグループのアニメーション制作力拡大も見逃せないポイントだろう。
株式会社ENGI エンギ (英文表記 ENGI Co. Ltd.)
https://engi-st.jp/