2018年4月に米国の映画業界団体MPAA(Motion Picture Association of America)が発表した「The 2017 THEME Report」によれば、2017年の世界の映画興行は順調に成長したようだ。また米国ではデジタル配信の拡大が、映像市場を牽引している。
「THEME Report」は毎年春にMPAAが、米国と世界の映画関連の市場、消費者動向をまとめるものだ。映画興行や動員数、劇場のスクリーン数、さらに映像ソフトやデジタル配信、ユーザー属性などを広くカバーする。世界の映画産業の動向を知る手掛かりとなる。
そのレポートによれば、米国とカナダを合わせた2017年の北米での映画チケット総売上げ(興行収入)は、111億ドル(2%減)だった。近年は横ばい傾向となっている。
一方世界全体の映画興行は引き続き成長が続いている。興行収入は406億ドル(5%増)。劇場スクリーンが増加するなかで興行収入が拡大するアジアが牽引している。アジア太平洋の興行収入は世界全体の44%を占める。また日本は北米、中国に続く世界第3位の市場であった。
米国市場で注目されるのは、デジタル配信での視聴増加である。DVDやブルーレイの映像ソフト市場とデジタル配信市場は2015年に初めて逆転したが、その差はさらに拡大している。
2017年の映像ソフト市場は68億3000万ドルと前年比で15%の減少となった。4年前の2013年の116億4000万ドルから4割以上減った計算だ。
一方デジタル配信は20%増の136億6000万ドルで映像ソフトの2倍を超えた。なかでもデジタル配信での定額課金見放題サービスの成長が著しい。サービスの利用者は1億5700万世帯と前年比21%増になる。
この結果、劇場興行、映像ソフト、デジタル配信の3市場を合算すると米国の映像市場は順調な成長を続けている。
3市場の合計は883億8000万ドル、2016年の819億ドルから8%増となっている。4年連続での増加だ。映画興行は横ばい、映像ソフトが縮小するなかで、デジタルシフトが映像市場の拡大を支えている。