2018年1月26日に発表された東映アニメーションの2018年3月期第3四半期決算は、依然好調を続けている。業績は期初見込みを大きく上回るペースとなり、いずれも過去最高を記録した。
第3四半期までの売上高は345億5700万円(13.9%増)、営業利益は87億400万円(18%増)、経常利益は91億800万円(17.7%増)、そして当期純利益は62億3300万円(12.3%増)であった。26日には合わせて、通期連結の業績予想の上方修正も発表されている。
業績を押し上げているのは、ゲーム化権の好調である。特に国内外で大ヒットの様相になっている『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』の存在が大きい。また中国向けの映像配信権の販売も好調であった。
アニメ業界で近年注目されることが多い、“中国”、“配信”、“アプリゲーム”のトレンドをうまく掴んだことが成功要因となっている。こうした成長セグメントが他の減収減益の領域を大きくカバーしたかたちだ。全体に厳しかったのは、「劇場アニメ」「商品販売事業」などである。
「劇場アニメ」「テレビアニメ」「コンテンツ」「海外映像」などで構成される映像製作・販売事業は、売上高は124億2500万円(3.5%増)、営業利益は21億4200万円(29.1%減)と増収減益。
「劇場アニメ」が大きく売上げを落としたが、こちらは前年同期の大型ヒット『ONE PIECE FILM GOLD』の反動が大きい。「テレビアニメ」は放映本数の増加もあり微減にとどまった。一方コンテンツ部門は、大型商品として『美少女戦士セーラームーンCrystal』のBlu‐ray/DVDがあったことから、全体では軟調だったが売上げは増加した。
「海外映像」は中国向けの配信権が好調だった。しかし国内向けの配信権は、前年の大口契約の反動がでて減少となった。
版権事業は売上高177億7500万円(39.1%増)、営業利益は83億7700万円(41.5%増)。『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』に加え、北米向けに家庭用ゲーム『ドラゴンボール ゼノバース2』も貢献した。
商品販売事業も『ONE PIECE FILM GOLD』の反動がでた。売上げ37億6200万円(19.4%減)、営業利益1億6000万円(14.8%減)と下げ幅がきつかった。
売上利益は第4四半期にさらに拡大の気配を見せているが、スマホアプリ事業や少数タイトルに売上げと利益の伸びの依存が強まっているのが懸念材料となる。今後は積極的な投資のなかで、有力IPの積極的な活用と収益が問われる。
2019年3月期は、新しいテレビアニメ化が決定した『ゲゲゲの鬼太郎』、いよいよ最終章を迎える『デジモンアドベンチャーtri.』は鍵を握る。新作タイトルもメディアミックスのプロジェクト『爆釣バーハンター』、キッズ向けの『おしりたんてい』などを投入する。
それでも2018年12月公開の『ドラゴンボール』劇場版20作記念企画が大きな目玉となるのは間違いないだろう。