全国出版協会・出版科学研究所は、2022年1月25日に2021年の出版市場規模を発表した。出版市場は推計で1兆6742億円、3年連続の増加だった。紙出版と電子出版を合算した数字で、前年比では3.6%増となる。
成長は引き続き電子出版の堅調な成長に支えられた。電子出版は18.6%増、4662億円で全体に占める割合は前年の24.3%から27.8%に拡大、1/4を超えた。
紙出版は1兆2080億円と1.3%減と前年比マイナスであったものの下げ幅は小さく、特に紙書籍(6804億)は2.1%増と 15年ぶりにプラスに転じた。児童書、文芸書、学習参考書、語学・資格書などが前年を上回る売れ行きだった。また返品率が32%台まで改善したこと、書籍価格の上昇も販売金額拡大につながったとする。
しかしコミックスを含む雑誌は引き続き市場の縮小が続いている。前年比5.4%減の 5276 億円。月刊誌が4.5%減、週刊誌が9.7%減。コミックス(単行本)も約1%減であった。2020年は『鬼滅の刃』が好調で2割増と大きな伸びだったことから反動もあったとみられる。
2021 年の電子出版市場は引き続きコミックス(マンガ)の貢献が大きくなっている。電子出版市場に占めるコミックスのシェアは前年よりさらに伸びて88.2%、およそ9割にもなる。
電子コミック市場は4114億円で20.3%の増加。『東京卍リベンジャーズ』がヒットし、また縦スクロールのコミック作品が伸びているという。
電子書籍は12.0%増(449 億円)だった。ただし電子雑誌は10.1%減の99億円と4年連続で二桁のマイナスだった。読み放題サービスの会員減少が大きな理由で、電子書籍市場の今後の成長に課題を残している。