「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの製作などでお馴染みの株式会社カラーが、2016年に10周年を迎えた。カラーは2006年5月17日にアニメの製作を目的に、アニメや実写映画の監督を務める庵野秀明らが設立した。
過去10年間で3本の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの長編映画を製作したが、自らが配給を手がけるなど新しいビジネスの取り組み、確立にも積極的だ。さらに庵野を中心にアニメや映像に関わり、日本の映像文化に多大な影響を与えている。
設立10周年を迎えた2016年、カラーはさらに大きく変わりつつある。2016年8月26日に、同社初のテレビアニメとなる『龍の歯医者』の製作を発表した。45分の2本を2017年2月にBSプレミアムで放送する。カラーにとっては、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズ以外で初の長編アニメとなる。
また2016年11月には、東京・渋谷区のラフォーレミュージアム原宿にて、「株式会社カラー10周年記念展」を開催する。展覧会では「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの原画や設定資料や「日本アニメ(ーター)見本市」の各作品の原画、資料などを展示する。よく知られたカラーの仕事と作品、そしてこれまでに知られていなかった部分も振り返るものになりそうだ。
会期は2016年11月23日~30日までの8日間、主催は株式会社カラーである。ここにも、全て自身で責任を持つカラーらしさが表れる。カラーの公式サイトでは庵野の言葉として、「今日までのあゆみと、その目指す未来を多くの皆様にお伝えしたいと」としている。
カラーは一般には「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズでよく知られているが、特撮短編映画『巨神兵東京に現わる』や実写映画『監督失格』などで、様々なかたちで映像に取り組む。
近年の大きなプロジェクトは、ドワンゴと共に挑む「日本アニメ(ーター)見本市」である。才能豊かなアニメーターをはじめとする作り手に短編作品を制作させ、ウェブで次々に発表するプロジェクトだ。2014年にスタートし、これまで30本以上が発表されている。いずれも新しい映像、表現やエッジに満ちている。
長編作品となる『龍の歯医者』は、この第1弾であった同名の短編アニメ 『龍の歯医者』を発展させたものである。監督に鶴巻和哉、原案・脚本に人気作家の舞城王太郎、脚本に榎戸洋司、キャラクターデザインに井関修一を起用する。制作統括・音響監督を庵野秀明が務める。龍が住む国に住む舞台に少年、少女の冒険ファンタジーを描く。
カラーの公式サイトでは、代表取締役である庵野秀明が今後のカラーの展望についても語っている。その活動は公開が心待ちされている『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の製作だけに留まらない。鶴巻和哉、前田真宏、小林浩康、鬼塚大輔、吉崎響らの映像を製作し、また実写作品をカラーとして製作したいともする。さらにアニメや特撮の資料・ミニチュアなどをアーカイブ化するためのNPO法人立ち上げにも言及している。
カラーはこれまでは、エヴァンゲリオンとその作り手である庵野秀明の会社と思われがちだった。しかし、次の10年の活動は、そうした枠を超えたより大きなものとなる気配だ。
株式会社カラー http://www.khara.co.jp/