2017年7月14日、アニメ関連の持株会社IGポートが、2017年5月期の通期決算を発表した。連結売上高は前年比5.3%減の75億8900万円となったが、営業利益は5億2000万円(24.7%増)、経常利益は5億4100万円(34.2%増)、当期純利益は2億2800万円(34.7%増)と利益面の伸びが大きかった。増益基調は前年に続くもので、利益重視を掲げた同社の方針を反映したかたちだ。
こうした業績は、2016年7月にIGポートが明らかにしていた業績予想を上回る。当期純利益のみは、グループのアニメーション制作会社の事務所移転に伴い取得した固定資産で特別損失5800万円を計上したことから当初予想並みとなった。
IGポートは予想を上回った理由として、製作出資に伴う版権事業が好調だったことを挙げる。版権事業は利益率が高いこともあり、営業利益、経常利益も押し上げた。
版権事業の好調の一方で、映像制作事業は苦戦している。17年5月期の映像制作事業の売上高は44億9600万円(9.4%減)、また前年に続き営業損失を計上し、それが1億円だった。(前年は1億2500万円の営業損失)
IGポートは売上については、次期以降に向けた企画が進む中で端境期になったとする。また、利益についてはクオリティーを重視するため受注を絞ったこと、制作コストが増加していることを挙げる。
版権事業は売上高11億7400万円、前年比3.8%増。営業利益は4億3100万円(29.8%増)である。『進撃の巨人』、『ハイキュー!!』、『甲鉄城のカバネリ』、『魔法使いの嫁』などが主要タイトルである。映像マスターの減価償却費が減ったことで、利益が拡大している。
出版事業の売上高は15億6300万円と前年並みだった。営業利益は2億5900万円(17.5%減)。2017年秋にテレビアニメ化が決定した『魔法使いの嫁』が中心となった。
16年5月期、17年5月期は、売上よりも利益を重視したかたちだが、18年5月期の業績予想では売上高拡大を見通す。連結売上高は前年比26.4%増の95億9200万円を予想。実現すれば、IGポートの売上としては過去最高になる。これに伴い営業利益も5億6100万円(8%増)、経常利益は6億1000万円(12.7%増)、当期純利益も3億5600万円(56%増)を見通している。
これらは『魔法使いの嫁』といった自社グループの出資比率の高い作品が増えているためと見られる。『魔法使いの嫁』では、海外販売権、商品化権、国内自動公衆送信権(配信権)の窓口を担当し、すでにヨーロッパ、北米、中国などの海外ライセンスの販売をしている。製作出資を通じた利益の拡大を目指す方向性が見て取れる。
さらに18年5月期は『銀河英雄伝説』や、『魔法陣グルグル』、『ボールルームへようこそ』、『フリクリ2』、『フルメタル・パニック!Invisible Victory』、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』といった話題作が続く。