ウルトラマンシリーズなど、数々の特撮TV番組・映画で活躍してきた円谷プロダクションに異色の社長が誕生することになった。2017年3月7日、円谷プロダクションは取締役会において、塚越隆行氏が新代表取締役に就任することを内定した。
8月1日に開催を予定する臨時株主総会を経て、正式決定をする予定だ。円谷プロダクション生え抜きの大岡信一現代表取締役の後を継ぐことになる。
塚越隆行氏は広告代理店を経て、1991年にディズニー・ホーム・ビデオ・ジャパンに入社、その後、ディズニー・ジャパンのグループの要職を務めた。ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンのゼネラル・マネージャーなどで活躍した。
2017年1月には、そのウォルト・ディズニー・ジャパンを退社したばかりだった。新たな職場として、日本を代表するキャラクターの会社を選んだことになる。
円谷プロダクションは、日本の特撮技術の第一人者であった円谷英二が1963年に設立した株式会社円谷特技プロダクションを前身としている。50年を超す歴史を誇るプロダクションである。
数々の特撮番組で知られるが、1967年にスタートした『ウルトラマン』がなかでもビッグタイトルである。その人気から多くのシリーズ作品が製作されている。誕生から50年を迎えるが、いまでも新作が相次ぐ。
しかし経営では波乱続きで、2005年にはTYOのグループ会社となった。さらにその後、2010年にはフィールズの連結子会社となる。また、玩具大手のバンダイも大株主となっている。
円谷プロダクションは新作番組はもちろんだが、大きなビジネスはウルトラマンを中心とした大型キャラクターを活用したIPビジネスとなっている。映像制作と距離のある塚越氏の就任は意外感はあるが、むしろディズニーで培ったキャラクタービジネスのノウハウの導入で手腕を発揮するとみられる。
ディズニー出身の大物が日本企業でキャラクタービジネスを広げた先例にはスタジオジブリの星野康二代表取締役がある。海外だけでなく日本でも強さを発揮するディズニーの経験が、特撮の名門企業でどう発揮されるのか注目を集めそうだ。