2017年2月11日に東京練馬区の光が丘区民ホールにて、アニメーション・クリエイティブ・テクノロジー・フォーラム(ACTF)2017が開催された。ACTFはアニメ制作におけるデジタル技術の情報共有を目的に2015年から実施されている。
開催3回目と短期間にも関わらず、その存在はすでにかなり知られるようになっている。デジタル技術への関心が、業界内で高いことも示していそうだ。開催当日は、会場となった光が丘区民ホールは業界関係者を中心に多くの人で溢れていた。
フォーラムは主に3パートから構成。各社事例紹介やシンポジウムによるメインセッション、個別ツールの使い方などを中心にしたセミナー、そして実際にツールを展示するエリアである。さらに資料展示もあり、コンパクトながらもデジタル技術の総合イベントである。
各社紹介では、デイヴィッドプロダクションが「デジタルツールによるコンテ制作の効果と課題」としてToon Boom Storyboard Proを活用した絵コンテのデジタル化について解説。クリエイターズインパックは「Creators in Pack大阪スタジオのフルデジタル作画元請け制作報告」と題して、デジタル作画と地方立地のスタジオの優位性を語った。
東映アニメーションの「『正解するカド』におけるデジタル作画 実践編」でも、テーマになったのはデジタル作画だ。全体にデジタル化がまだ進んでいない絵コンテ、手描きの作画部分にフォーカスが当てられた構成だった。
デイヴィッドプロダクション・津田尚克ディレクターのデジタル絵コンテはとりわけ印象が深かった。企画・プリプロダクションの部分のデジタル化が、今後は急激に進むのでないかと予感させるものだった。
セミナーで登場したのは、「CLIP STUDIO PAINT」「Toon Boom」、「TVPaint Animation」、そしてドワンゴの「OpenToonz」である。またアニメスタジオのTRIGGERは「スキャナとデジタル作画ツール活用による制作工程効率化」を実施した。
いずれも専門的なレクチャーであるが、注目のツールの最新情報でもあり、こちらの会場も満員であった。
国内にはアニメやCGに関連するイベントは多い。しかし、アニメのデジタル技術にフォーカスしたものは必ずしも多くない。そのなかでACTFは、CGやVFXを中心としたスタジオというよりも、従来は手描きアニメを中心としてきたスタジオのスタッフに向けている。
制作現場でのデジタル化がさらに進むなか、貴重な情報交換の場を提供する。2018年以降の開催も期待される。