日本マンガ・アニメのビジネスを米国で手掛けるVIZ Mediaが、アニメ・マンガにフォーカスしたスタートアップ企業とのビジネスに乗り出す。2016年1月4日(現地時間)、VIZ Mediaはオンラインコミュニティサービス「Kitsu」に出資したことを明らかにした。投資金額は、フイリピンの企業家バーナード・チョン氏と合せて60万ドルとなる。
出資後は、マーケティング部門の担当者がKitsuの取締役会に加わる。またビジネス開発部門のロブ・ペセタ氏がシニアアドバイザーとなる。Kitsuは調達した資金をプラットフォームの開発・構築に用いる。
Kitsuは、ジョシュ・ファビアン氏が設立、開発するプロジェクトとして「Hummingbird」のタイトルでスタートした。ファビアン氏は割引クーポンのネットサービスのグルポンや、値引き交渉サイトoBazのリードデザイナーを経験してきた。
Kitsuでは、アニメやマンガファンがサイト上に特定の作品やテーマごとにコミュニティを自由に作ることが出来る。コンセプトは従来のフォーラムや掲示板と同様だが、ビジュアルを大きく取り入れ、さらにSNSのようなインターフェースを採用することで、現代の若者向けとなっている。ただし、今回の投資をもとにさらにソーシャル機能を拡張したデザインに再構築する予定だ。
VIZ Mediaは、小学館、集英社、小学館集英社プロダクションの出資する米国法人である。マンガ・小説の翻訳出版、アニメ版権管理や流通・発売などの大手企業として知られている。
今回の出資については、Kitsuさらなる成長が期待されるとしているが、直ちにVIZ Mediaのビジネスとはつながらないようだ。しかし、多くの人気タイトルを持ち、ファンに知られるが、同社は自身では大きなアニメニュースメディアやファンコミュニティを持たない。Kitsuが大きく成長すればそこに大きなビジネスチャンスが生まれるはずだ。一方でVIZ Mediaの名前の大きさと豊富なタイトルは、Kitsuのブランド力とサイトの充実にもつながるに違いない。
日本のアニメやマンガの関連企業が、海外のスタートアップ企業に投資することはあまり例がない。そうした点からも、注目される試みである。
「Kitsu」 https://kitsu.io/