アニメ製作会社ゴンゾとその親会社のアサツー ディ・ケー(ADK)は、2016年12月27日にゴンゾの債務超過額が、大幅に増加することを明らかにした。2016年9月30日時点で公表されていた12億8000万円の債務超過額が10億2500万円増加し、23億500万円となる。
ゴンゾは国内中堅のアニメ製作会社で、『青の6号』や『LAST EXILE』など数々のヒット作で知られている。国内大手の広告代理店であるADKはアニメ事業の強化を目的に公開買付を実施、2016年9月28日付で連結子会社化していた。ADKによれば、買収後の連結財務諸表を作成するなかで、不適切な会計処理が明らかになったという。
従来を上回る債務の発生は、売上、棚卸し資産、貸倒引当金の計上に関する記載の一部が一般的な会計基準に準拠しない可能性があると判断したためだ。これを受けてゴンゾは、2012年3月期、2013年3月期、2014年3月期、2015年3月期、2016年3月期の有価証券報告書についても重要な点で誤謬を含む可能性があるとして訂正を行った。売上高、売上総利益、営業利益を修正した。また2017年3月期の半期報告書の提出を延期する。
ADKとゴンゾは、事実関係の調査を目的に11月10日付で外部専門家からなる特別調査委員会を設置し調査を進めている。2017年1月上旬に調査結果を出し、損益の影響や再発防止策が確定次第報告するとしている。
ゴンゾは1992年に設立した(旧)ゴンゾと、1996年に設立されたディジメーションがスタートになっている。2000年に両社が経営統合したのち2004年にGDHとして東証マザーズ市場に上場をした。積極的な事業戦略で急成長したが、多角化戦略の躓きや海外での日本アニメ市場の縮小で業績が悪化、2009年に上場を廃止した。債務超過状態ではあるものの近年の業績は安定しているとしていた。
キッズ・ファミリーアニメを中心にアニメ事業を手がけてきたADKは、コアファン向けのアニメ作品の強化を目的に2016年8月に同社の買収を発表。買収総額は64億円を超えている。
またゴンゾは、12月14日に臨時株主総会を開催し、新たな経営体制を決定している。代表取締役社長の石川真一郎氏、取締役副社長の根本慎太郎氏はこれまで通り。両氏はゴンゾ・ディジメーション・ホールディングス時代から同社で勤務する。
新たにADKの勝村良一氏、大芝賢二氏、石渡義崇氏がそれぞれ取締役に就く。ADKがゴンゾの経営にも積極的に関わる方針が判る。旧大株主であったいわかぜキャピタル出身の植田兼司氏、西山弘氏、船橋知弘氏らは退任した。