
ソニーグループとバンダイナムコホールディングス(バンダイナムコHD)、日本を代表するふたつの巨大エンタテイメント企業が、国内外のアニメファン事業に乗り出す。先端テクノロジーを活用したファンコミュニティ事業のGaudiyに、両社合計で100億円を出資した。GaudiyがソニーグループとバンダイナムコHDを引き受け先に第三社割当増資を実施した。
これに合わせて、ソニーグループ、バンダイナムコHD、Gaudiy の3社間で戦略的パートナーシップを締結した。戦略的パートナーシップでは、3社がそれぞれ持つ強みと資産を合わせることでエンタテインメント業界の新たなエコシステムを作るとしている。
Gaudiyは2018年設立のベンチャー企業で、ブロックチェーンやAIなどの技術を使ったファンコミュニティ事業を手がけている。ファンとIPをつなぐ“共創型のコミュニティプラットフォーム”を掲げる。自社開発のプラットフォーム「Gaudiy Fanlink」をエンタテインメント企業に提供する。
また2025年3月には、英語圏最大のアニメ・マンガのコミュニティサイト「MyAnimeList」の買収でも注目を浴びた。「MyAnimeList」は最大株主のメディアドゥから持分株式を取得して傘下に収めた。さらに他株主であったアカツキ、アニメタイムズ社、コアミックス、講談社、集英社、小学館、ブシロードには、株式交換でMyAnimeList株式の代わりにGaudiyの株式を交付した。結果としてGaudiyの株主にエンタテイメントの有力企業が多数参画することになった。
GaudiyはMyAnimeListとソニーグループの海外向けアニメ配信プラットフォームCrunchyroll、そしてバンダイナムコHDの商品やサービスを連携して世界展開をするとしている。
また3社の取り組みでは、「ブロックチェーン」と「生成AI」といった先端テクノロジーも目玉となる。ブロックチェーンではソニーが開発する「Soneium」やGaudiyが実証研究中のトークノミクス設計・オークション設計を活用することで、クリエイター還元の仕組み実現を目指す。
生成AIでは、バンダイナムコHDとGaudiyがすでに取り組みを進めている。公式ガンプラコミュニティ「ビルダーズノート」において、画像生成AI技術を活用したファン体験を提供している。今後も生成AI技術の研究開発・活用を進める予定だ。
Gaudiyの急速な事業拡大は最新テクノロジーの技術力に加えて、積極的な資本政策も理由だ。同社は2022年にも、バンダイナムコエンターテインメント、ソニー・ミュージック、サンリオ、三菱UFJイノベーション・パートナーズ、みずほキャピタルなどを割当先として34億円の資金調達を実現している。先の「MyAnimeList」の買収も、こうした潤沢な資金を背景に実現している。
今回の調達資金の目的でも、現在の事業への投資のほか、M&A、新規事業、海外事業、研究開発・人材への投資をあげている。Gaudiyは年内にさらなる追加調達も予定しており、事業への積極的な投資はしばらく続きそうだ。