プロダクション I.GやWIT STUDIOなどのアニメ制作会社を統括するIGポートの売上が拡大している。1月10日に発表した2025年5月期第2四半期の決算によれば、同社の24年6月から11月までの半年間の連結売上高は76億8900万円と前年同期比から47%の増加だった。
これに伴い営業利益も8億2500万円(38%増)、経常利益は8億3000万円(10.7%増)と伸びた。ただし税金費用の増加により、純利益は4億7300万円と13.5%の減少になっている。
売上は映像制作事業、版権事業の双方で伸びている。版権事業の売上は28億3200万円(169.5%増)だ。ただしこの売上には、期間中に納品をした100%自社出資の『君に届け 3RD SEASON』があったことが大きい。通常は映像制作に相当する金額が、配信事業者からのライセンス売上として計上されているためだ。
それでも『怪獣8号』の海外販売、劇場版『ハイキュー‼』の興行収入や商品化収入の配分、『進撃の巨人』の海外販売、国内配信収入などの貢献が大きく、版権事業は好調だ。この3作品で実質的なライセンス収入の半分以上を占めている。版権事業の営業利益は12億7500万円(154.7%増)。
一方で映像制作事業は赤字が続いている。売上高は33億1800万円(18.5%増)と大きく伸びたが、営業損失は1億2200万円から6憶9900円と拡大した。売上高の増加は『怪獣8号』などの納品があったためだ。このほか期間中は『真・侍伝YAIBA』、『SPY ×FAMILY Season 3』、『THE ONE PIECE』、『ムーンライズ』、『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』 などを手がけている。
赤字が続くのは、制作期間の長期化やクリエイター人件費、CG制作費が高騰していることでコストが嵩んでいることが理由だ。受注損失引当金を計上している。
出版事業行スケジュールの変更が影響して減収減益となった売上高は11億7200万円(4.5%減)、営業利益は2億6000万円(10.2%減)となる。『魔導具師ダリヤはうつむかない ~Dahliya Wilts No More~』、『転生貴族の異世界冒険録』、『リィンカーネーションの花弁』が主力作品。
またその他事業の売上が3億6500万円(143.8%増)、営業利益6000万円と伸びている。力を入れる自社商品化事業が伸びているためである。
第2四半期までの売上高の伸びは高く、当初業績予想で59%に達しているが、現時点では通期連結業績予想の変更はない。連結売上高は2022年5月期の118億7200万円を超え129億9300万円、経常利益は24年を超え17億1800万円といずれも過去最高となる見込みである。