アニプレックスとクランチロール共同製作 ソニーの大型ゲーム「Ghost of Tsushima」アニメ化

ソニーグループ

 2025年1月7日、米国ラスベガスのテクノロジー国際見本市「CES2025」で開催されたソニーグループのプレスカンファレンスにて、ソニーグループを横断する大型アニメプロジェクトが発表された。
 ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の子会社Sucker Punch Productionsが開発した世界的なヒットゲーム『Ghost of Tsushima』のアニメシリーズ化決定だ。イベントはソニーグループの最新事業を紹介するもので、その目玉のひとつとなった。

 『Ghost of Tsushima』は11世紀の日本で起きた元寇をモチーフにした時代劇アクションアドベンチャーゲーム。2020年にリリース後、世界で1千万本近く販売するメガヒットになっている。今回はオンラインマルチプレイモードとして展開する「Legends/冥人奇譚」をアニメシリーズとする。
 監督は『スター・ウォーズ:ビジョンズ』「デュエル」の水野貴信、シリーズ構成は『魔法少女まどか☆マギカ』などでお馴染みの虚淵玄、またアニメーション制作は『ニンジャバットマン』の神風動画と大作に相応しい陣容だ。公開は2027年予定で、スタッフなどの詳細は今後順次発表する。

 アニメ化では作品だけでなく、ビジネスの枠組も注目される。製作を米国で日本アニメ配信を主力事業とするクランチロールと日本のアニメ製作会社アニプレックスの2社が共同で取り組むことは大きい。
 アニプレックスは日本のソニー・ミュージックの子会社、クランチロールは米国のソニー・ピクチャーズの子会社にあたる。アニプレックスはクランチロールに一部出資をするものの、これまでは両社はアニメを主軸にしつつも、日本と米国でそれぞれに事業を進めてきた。それが今回、本格的なタッグを組む。
 ソニー・ミュージックとソニー・ピクチャーズの事業領域を超えること、さらに原作がSIEのタイトルであることも重要だ。グループの映像事業会社、音楽事業会社、ゲーム事業会社が連携するプロジェクトになる。

 また今回アニメコンベンションやゲームショウとは異なるテクノロジー系のイベントであるCESで発表をしたことにも大きな意味がある。
 ソニーグループの映画、音楽、ゲーム、アニメの各社はそれぞれの存在感があり、ブランド力も大きい。しかし長年、グループ間の連携は希薄とされてきた。そうしたなかソニーグループ全体をアピールするCESで大型プロジェクトとして披露することで、エンタテインメント各社の連携と団結を示す思惑がありそうだ。カンファレンスではSIEの人気ゲームのソニー・ピクチャーズによる実写化も大きく紹介された。

 実際に50分あまりのプレスカンファレンスでは、ソニーグループ社長COO兼CFOの十時裕樹氏ら12人が登壇したが、その半数が映像、ゲーム、アニメの関係者だった。また全体の半分の時間がそれらに割かれた。
 さらにプレスカンファレンスでは、アニメに大きなフォーカスが当たった。アニプレックスの執行役員社長・岩上敦宏氏が『「鬼滅の刃」無限城編』を中心にアニメ事業を紹介、クランチロールのプレジデントラウール・プリニ氏はマンガアプリの開始などを発表した。
 ふたりのプレゼンテーションはトータルで10分程度、4人が登壇した映画・ゲーム事業の10分あまりとほぼ同じ時間が割り当てられている。そこからは、アニメが引き続きソニーグループの重点領域であることが伝わる。

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