東宝は米国の映画配給会社GKIDSの全株式を、現地法人Toho Internationalを通じて取得することを明らかにした。2024年10月15日の取締役会で決定、株式譲渡契約を締結した。
株式譲渡日は今後決定するが、2025年2月期中に東宝の連結子会社となる予定だ。譲渡価額やGKIDSの業績・財務状況は株式取得先との合意によって開示されないが、連結業績に与える影響は軽微としている。
GKIDSは世界のアニメーション映画を中心に手がける米国の中堅配給会社。日本ではスタジオジブリ作品の北米配給で知られているが、新海誠や細田守、湯浅政明といった世界的に評価の高い監督作品を中心に日本のアニメーション映画の配給も多い。日本のアニメーション映画の英語圏における普及や評価を築くうえで、大きな役割を果たしてきた。
日本作品だけでなく、世界のアニメーションも数多く北米に紹介する。配給作品にはアイルランドのカートゥーンサルーンによるケルト3部作を含めた長編映画、『ぼくの名前はズッキーニ』、『リンダはチキンが食べたい』、『くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ』といった世界中の傑作が並ぶ。ロサンゼルスのAnimation is Film映画祭を主催するなど、アニメーション文化の振興にも積極的だ。北米のアニメーション文化のハブのひとつになっている。
近年は製作出資にも乗り出し、日本作品のラインナップも強化している。また映画の特性に合わせた巧みなマーケティングでも知られている。『君たちはどう生きるか』のような大規模公開から、数館規模の限定上映まで作品の特性にあった対応をする。これまでに日本作品を含み13作品をアカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートさせ、今年は『君たちはどう生きるか』で受賞に輝いた。賞レースの強さでも定評がある。
東宝は2019年のToho Internationalの増強をスタートに、北米ビジネスの事業拡大を急ピッチで進めている。2023年には『ゴジラ-1.0』で北米配給ビジネスに直接乗り出した。そのなかですでに北米配給で一定の地位を築いているGKIDSとの相乗効果が期待出来る。GKIDSをグループに加えることで、アニメーション配給の機能・体制を確立するとしている。GKIDSの映画業界における認知度、評価は北米では新興の東宝にとってバックアップになりそうだ。