東宝、米国の映画・ドラマ会社FIFTH SEASONに330億円出資

提携

 東宝が米国で大型投資により、現地のビジネスを拡大する。2023年12月11日、東宝グループの米国法人である東宝インターナショナル(Toho International, Inc.)が、米国の映画・テレビスタジオのCJ ENM FIFTH SEASON LLC(FIFTH SEASON)に出資すると発表した。
 FIFTH SEASONは、韓国の大手エンタテイメント企業CJ ENMと米国のタレントエージェンシー&クリエイティブ企業エンデバー(Endeavor)の各グループ企業出資する。現在はCJ ENMが80%、Endeavorが20%を出資するが、このビジネスの枠組に東宝が新たに加わる。東宝インターナショナルは、FIFTH SEASONの株式25%を2億2500万ドル(約330億円)で取得する。

 FIFTH SEASONは、2017年にエンデンバーの映像事業部門エンデバー・コンテンツとして設立された。2022年にCJ ENMとの共同事業として、グループからスピンオフして現在のかたちとなった。
 エンデバーの持つ番組販売ネットワークを軸にした映像企画、資金調達、制作、販売までの垂直型映像ビジネスが武器になっている。『Severance』、『See ~暗闇の世界~』、『Tokyo Vice』などのヒット作を生み出している。
 もうひとつの特徴はCJ ENMを通じた韓国コンテンツを持つ強みである。世界的に高い評価をされた『パラサイト 半地下の家族』や『愛の不時着』などの制作や世界販売を手がける。同時に韓国コンテンツのグローバル展開の拠点のひとつともなっている。

 東宝には、こうしたネットワークを日本のコンテンツにも活用できると期待があると見られる。また今回の提携を通じて、グループと FIFTH SEASON による実写コンテンツの共同開発・製作も目指す。
 同時にCJ ENM ともコンテンツの共同開発や共同製作、両社がそれぞれ持つIPの相互利用や協業についても検討するとしている。日本コンテンツと韓国コンテンツは相互補完的なビジネスも可能でないかとされるだけに、注目される動きだ。

 東宝は中期経営戦略にて、成長戦略のキーワードのなかに「企画&IP」「海外」を掲げる。国内市場が人口減少で大きな成長が見通しにくい中で、とりわけ海外事業の拡大は重要な部分となっている。
 今回の取組みも、そうした海外事業強化の流れの一環とみられる。すでに大きな成功を収めているアニメ、そして番組販売に加えて、新しいビジネスを米国に築く構えだ。

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