宮崎駿監督の最新長編映画『君たちはどう生きるか』が2023年7月14日に公開され、およそ2ヵ月が過ぎた。「宣伝しない宣伝」を掲げた予告編、テレビCMなども打たない異例の体制にもかかわらず、映画興行収入はすでに80億円に近づきつつあり、大ヒットの様相をみせている。
一方で、宮崎駿の最新作を待ち望んでいるのは、日本だけでない。公開から2ヵ月、映画祭を軸にいよいよ世界でも『君たちはどう生きるか』の上映が始まった。
日本以外での初上映、インターナショナルプレミアとなったのは、9月7日に開幕したカナダのトロント国際映画祭である。北米最大、世界の映画業界に大きな影響力があるとされるトロントのオープニングを飾った。日本映画、そしてアニメーション映画としてもオープニングは初めてとなる。
上映にあたって高齢の宮崎監督は現地を訪れなかったが、宮崎駿を敬愛する映画監督ギレルモ・デル・トロが登壇し作品紹介にあたった。『君たちはどう生きるか』の素晴らしさを語った。
また映画祭の開幕に合わせて北米配給を手がけるGKIDSは、本編動画を使った1分あまりの予告編を公開した。YouTubeやX (旧Twitter)などでも配信され人気を呼んでいる。日本を含めてこれまで本編の動画映像は一切公開されていなかったため、ファンにとってはうれしい驚きである。
予告編と共に、『君たちはどう生きるか』の12月8日北米公開も発表された。クリスマスシーズンに合わせており、子どもたちやファミリーの動員を狙うことになる。年末の賞レースに絡んでくる可能性も高い。
さらに『君たちはどう生きるか』の展開は、ヨーロッパに移る。ヨーロッパプレミアは、9月22日に開幕する第71回サン・セバスチャン国際映画祭。こちらもオープニング上映で、歴史のある映画祭の破格の厚遇ぶりが際立つ。
また開催に先駆けて、映画祭は宮崎駿監督にドノスティア賞(Premio Donostia)の授与を発表した。同賞は生涯功労賞にあたるもので、本年はスペイン俳優のハビエル・バルデム、映画監督ビクトル・エリセが共に受賞する。映画祭でも『君たちはどう生きるか』が大きな注目を浴びそうだ。
さらにその後は、9月29日開幕のニューヨーク国際映画祭で米国プレミアも実施される。『君たちはどう生きるか』の世界展開が続く。