宮崎駿監督の2001年のアニメ映画『千と千尋の神隠し』が、今年で公開15周年を迎える。これを記念して、米国で大掛かりなイベントが開催されることになった。2016年12月4日(日)、5日(月)の2日間、「『千と千尋の神隠し』:15年記念 Spirited Away: 15th Anniversary」と題したリバイバル上映が全米400館以上で実施される。
当日は本編以外にも短編アニメ『ギブリーズ episode2』も併映される。本作が米国でリリースされるのは、これが初だ。またイベント上映に合せて、映画関連グッズのHot Topicから記念商品も発売されるのも人気になりそうだ。
宮崎駿監督とその作品の多くを制作してきたスタジオジブリは、日本のみならず世界的に知られている。先頃、NHKの番組で明かされた宮崎駿監督の長編アニメからの引退撤回も、世界中のメディアで大きく伝えらえた。
数多い宮崎駿監督の作品のなかでも、2002年に日本アニメとして唯一、米国アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した『千と千尋の神隠し』はよく知られている。大規模なイベントは、本作に今でもそれだけの集客が期待できるというわけだ。
イベントを主催するのは、劇場を使ったイベントのトップ企業であるFathom Eventsで、作品の北米配給権を持つGKIDSが協力する。GKIDSは良質のアニメーションや子ども向けの映画を得意とする配給会社で、2011年以来、北米でのスタジオジブリの旧作の配給権を持っている。今回の上映は、『ギブリーズ episode2』の初披露の意味合いもありそうだ。
Fathom Eventsは、米国の大手劇場興行チェーンAMC エンタテイメント、シネマーク、リーガル・エンタテインメントが出資する。デジタル配給のネットワークを活用することで、映画のほか、コンサートやスポーツなどを全米の映画館に届けている。日本のライブビューイングやODS興行にあたる役割を果たしているが、興行会社が協力して映画館の多様な利用を実現しているのが特徴だ。
こうした興行は映画がフィルムからデジタルに移行したことで可能になったが、近年、ますます活発になっている。同時に日本アニメの米国での公開にも可能性を広げている。以前は全米公開できない作品はアニメイベントや映画祭などごく限られた場でしか上映がなかったが、全米の多くの都市の映画館での人気作品の鑑賞がこれで可能になった。興行収入800万ドルを超えた劇場版『ドラゴンボールZ 復活の「F」』や『NARUTO』、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』、『劇場版 魔法少女まどか マギカ』など多くの作品がこのかたちで上映されている。最近は『シン・ゴジラ』や映画『進撃の巨人』といった実写映画にも広がっている。
さらに2017年1月には、イレブンアーツとVIZ Mediaが1993年製作の『劇場版美少女戦士セーラームーンR』を全米300館規模で初上映することが決まっている。劇場上映イベントは、新たに旧作タイトルにも広がってきたようだ。