放送大手のTBSホールディングス(TBS HD)が、2022年5月13日に22年3月期の通期業績を発表した。期間中の連結売上高は3582億6900万円と前年比で10%増、また利益面でも大幅に復調している。営業利益は203億4600万円(87.7%増)、経常利益が307億700万円(59.7%増)、当期純利益が320億800万円(14%増)だった。テレビ広告市況の回復に支えられた。
このうちアニメ事業の売上高は13億3300万円、前年から7億4300万円増加と大きな伸びとなった。主力タイトルは『五等分の花嫁』や『プラチナエンド』。海外向けの番組販売収入に助けられ、増収だった。このほか映画事業の売上げも、20億4200万円と前年より8億800万円増加している。
また決算に合わせて、注力事業であるアニメ事業の今後の取り組みについても明らかにしている。「アニメ事業におけるIP価値の最大化への取り組み(オリジナルIP開発とバリューチェーンの構築)」として、制作能力の向上と共にアニメビジネスの上流から下流まで全領域をカバーする構えだ。
現在のアニメ事業の年間売上高は、他の大手放送局に較べると必ずしも大きくない。しかし大きな絵を描き、積極投資をすることで、今後の成長が見込めそうだ。
アニメ制作は25億円の増資が完了したアニメーション制作のSeven Arcsがハブになる。グループ内の制作能力を高めることで、アニメ業界でTBSのプレゼンスを上げるとする。作品とTBSアニメのブランドの価値の向上も狙う。
アニメビジネスのバリューチェーンは、「企画プロデュース」と「原作開発」、「アニメーション制作」を一体化させたものになる。アニメーション制作のSeven Arcs、企画プロデュースのTBS映画・アニメ事業部のほか、中核なる会社を相次いで立ち上げた。
2022年1月に設立したばかりのTHE Factoryは、グローバル市場をターゲットとした企画・製作・配信・販売会社だ。ハイエンドの企画・開発に特化して、5年以内に2~3本のグローバルヒットを目指す。すでに300億円を制作資金に確保しており、アニメも重要な位置を占めそうだ。
2021年10月より連結子会社化しているマンガボックスは作品の原作を創出する部署である。5月14日に発表した韓国のNEVER WEBTOONなどと韓国設立する縦読み電子マンガに特化する新会社Studio TooNにも同様の狙いがありそうだ。いずれもデジタルを源流にマンガ原作を確保する点が特徴だ。