米国の映画製作業界団体MPA(Motion Picture Association)は、この春の刊行した映画・映像業界レポート「THEME REPORT 2021」にて2021年の世界の興行収入の合算が213億ドル(2兆7600万円)だったこと明らかにした。前年比では81%増と高い伸びになったが、2019年対比では50%と大きく落ち込んでいる。新型コロナ感染症の影響が続いたためである。
国別で最も興行収入が大きかったのは中国で73億ドルだ。前年の30億ドルから急伸している。北米(米国・カナダ)の45億ドルを大きく上回り、2年連続で世界最大の映画興行市場を維持した。中国は新型コロナ感染症の劇場への影響が他国に較べて小さかったことが幸いした。北米市場は2020年の22億ドルから105%増であったが、2019年の114億ドルからかなり遠い。
日本の映画興行市場は前年の13億ドルから微増の15億ドルであった。それでも4位、5位の英国とフランスの各8億ドルを大きく引き離し、前年に引き続き世界第3位の市場を維持している。日本の映画興行もコロナの影響が大きかった、それでも他国から比べと打撃が少なかったことを反映している。
6位以下は、ロシア(6億ドル)、7位韓国(5億ドル)、8位インド(5億ドル)、9位オーストラリア(5億ドル)と続いている。
一方で配信サービスとビデオソフトのグローバル市場は前年比14%増の785億ドル(10兆2000億円)に達し、映画興行を大きく超えた。劇場の不振と家庭での視聴の好調との違いが明白に現れた。このうち有料デジタル配信や有料ケーブルテレビが720億ドル、ブルーレイやDVDなどのビデオソフトの売上は65億ドルにとどまっている。
定額課金サービスの市場は26%増と特に大きな伸びを見せている。グローバル市場で179億ドルとなったが、それでも映画興行市場よりは依然小さい。定額課金サービスの加入者は13億人、前年から14%の増加だ。