2022年3月17日から20日までの4日間、フランスで第49回アングレーム国際漫画祭(Le Festival International de la Bande Dessinée d’Angoulême)が開催される。アングレームはマンガやバンド・デシネ、コミックの分野で世界有数の祭典として知られている。もともと1月27日から30日の開催を目指していたが、新型コロナ感染症デルタ株の広がりから延期されていた。
当初の開催より2ヵ月ほど遅れるかたちにはなったが、フェスティバルではこれまでどおりの様々な企画が開催される。国内外からの多くの参加者が集まりそうだ。
期間中の3月20日に、湯浅政明監督の最新長編アニメ映画『犬王』のフランス・プレミアが開催されることになった。上映に合わせて湯浅監督も現地に訪れ挨拶するほか、19日には「マンガがアニメになる時」と題したトークも行う。
『犬王』は古川日出男の小説「平家物語 犬王の巻」を原作に、室町時代に実在した能楽師・犬王と琵琶法師・友魚の友情を描く。アニメーションで音楽と踊りを描く異色の作品だ。
これまでにヴェネチア国際映画祭、トロント国際映画祭などで公式上映されてきた。1月の第51回ロッテルダム国際映画祭では「湯浅政明監督特集上映」が組まれ、メイン作品として組まれた。アングレームの上映はそれに続くもので、このフェスティバルでの日本アニメ映画のプレミア上映は初になる。
アングレームは近年、漫画文化と切り離せないジャンルとして、映画などの映像文化に目を向けている。これらを原作としたマンガ、また作家や業界を題材にしたドキュメンタリー映画の上映やイベントに力を入れる。
今年は『犬王』のほかにもバンド・デシネ『ラストマン』を原作とした『ラストマン・ヒーローズ』(ジェレミー・ホアラウ監督)や『タンタン』に登場するブレイクとモーティマーのキャラクターにフォーカスしたドキュメンタリー『By Jove ! Blake et Mortimer ont 75 ans』なども上映する。
『犬王』関連では作品をテーマにしたアート展も現地開催される。湯浅政明や原作者でキャラクター原案も務めた松本大洋の仕事を紹介する。
アングレームでは期間中、10余りの企画展を予定しているが、この他にも日本の作家関連の企画がある。ひとつは『チェンソーマン』や『ファイアパンチ』で国内でも急速に注目する藤本タツキを取り上げた「HÉROS DU CHAOS:カオスの中のヒーロー」、もうひとつは水木しげるの生誕100周年を記念した「CONTES D’UNE VIE FANTASTIQUE:奇想天外な人生の物語」だ。新旧の二人を同時に取り上げるアングレームらしい幅の広さを感じさせる。
第49回アングレーム国際漫画祭
(Le Festival International de la Bande Dessinée d’Angoulême)
https://www.bdangouleme.com/